【ソルトレークシティー(米ユタ州)4日(日本時間5日)=三須一紀】18年平昌五輪で銅メダルだった女子1000メートルで高木美帆(27=日体大職)が、今季W杯初勝利を挙げた。自身の日本記録に0秒12差と迫る1分11秒83の好記録でこの種目5年ぶり2度目の優勝。開幕まで2カ月となった北京五輪に向け、自身初となる個人種目での五輪金メダルへ大きな弾みをつけた。

 

体をくの字に曲げ、氷に向かって叫び声をぶつけた。納得の1分11秒台。しかし顔を上げた次の瞬間、今度は険しい表情を見せる。「ここまでタイムが出た」という歓喜と、2年前同じリンクで出した日本記録に「もうちょっとだった」という悔しさが同時に高木美を包んだ。

「今日はタイムよりも最初から攻めていくことが目標だった」。200メートルのラップタイムは全体の7位だったが、次の400メートルは26秒3、最終ラップも27秒7でともに全体の1位。尻上がりに加速した。同種目で平昌五輪銀メダルの小平奈緒と同走も終始リードを保った。

抱えていたモヤモヤを振り払った。10月下旬の全日本距離別選手権から「1000メートルがどうも行ききれず、納得できないレースが続いていた」。距離別では5連覇したもののタイムは自身の国内記録に1秒39及ばない1分14秒60だった。

11月のW杯北欧シリーズで1000メートルを2戦連続の2位で終えた後、今大会まで10日間ほど時間が空いた。その期間を有効活用。「課題や体の使い方を見つめ直すことができた。課題に対してアプローチできたこと自体に手応えを感じ、次につながる」と表情は明るい。

平昌五輪では1000メートルで銅、1500メートルで銀、女子団体追い抜きで金メダルを獲得するも個人種目での金はまだない。悲願達成へ好材料となるタイムと勝利に「W杯と五輪は別物。今の結果は糧にすることはあっても、五輪の結果を保証するものではない」と冷静そのもの。

最終日に出場する1500メートルへは「明日ももう1本しっかり攻めたい」と勢いづく。自身が2年前に同リンクでつくった世界記録、1分49秒83の更新にも期待が懸かる。