全国高校選抜ボクシング大会(3月=北海道)の出場権を懸けた北信越予選が28日から30日まで富山・上市高で行われる。各階級優勝者が選抜出場権を得るが、昨年の全国選抜特別大会ライトウエルター級優勝者の六井和(ろくい・やまと=開志学園2年)が2連覇へ向けて予選に出場する。25日に同校で新型コロナウイルス陽性判定者が出たことで26日まで部活中止になったが動じることなく、連覇への第1関門に臨む。

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六井の集中度は高い。「気持ちも体調も大丈夫」。25、26日は部活動が停止したため自宅で練習。父克巳さん(50)が自主トレ用に仕入れていたサンドバッグを打ち込んだ。体重は25日時点でライトウエルター級のリミット64キロを下回る63・9キロ。母利枝さん(51)が腸内環境を整えるために乳酸菌の多い料理を作ってくれるなど普段から2キロオーバー以内に抑えてきた。部活中止にも慌てることなく富山入りする。

「北信越は強い選手が多い」と気を引き締めた。速さと威力を備えた左ストレートを武器に昨年の全国選抜特別大会優勝、全国総体は3位だった。地区レベルは勝って当然と見られるが緩みはない。全国総体準決勝で敗れた相手で、優勝した松久優作(東福岡3年)を手本に練習してきた。「ワンツーのワンとツーの間がないくらい速かった」。対戦動画を繰り返し見て、松久と同じ速さを追求。筋トレで体力を強化した。

県予選(15~17日)はコロナ禍で複数校が辞退し、対戦者不在だった。昨夏の国体県予選決勝で対戦して勝っているライバルの今村匠斗(新潟北2年)は感染しなかったが高校の臨時休校に伴い、不出場。今村から「戦えずにごめん。頑張れよ」と激励された。「彼の分も北信越、選抜で勝つ。大会を開いてもらえることに感謝したい」。背負うもの全てを力に、連覇に踏み出す。【斎藤慎一郎】

◆六井和(ろくい・やまと)2004年(平16)10月12日生まれ、新潟市出身。ボクシングは西内野小5年から新潟ボクシングジムで始める。内野中でもボクシング一筋で開志学園に進学し、昨年1月の全国選抜県予選で公式戦初優勝。憧れのボクサーはスーパーライト級主要4団体統一世界王者ジョシュ・テイラー(スコットランド)。左アウトボクサー。174センチ、63キロ。