補欠から4年ぶりの出場を果たした友野一希(23=セントラルスポーツ)が、国際大会5度目の繰り上げ出場で大台の100点台に乗せた。

従来の自己ベストを4・02点更新する、101・12点を記録。宇野昌磨、鍵山優真の五輪メダリストに続いて3位に入り「(目標が)100をちょっと超えた101点じゃないと、100点はいけないと思っていた。ずっと『101点』っていうのを自分の中で言い聞かせてやっていました。本当にビックリです。思っていた点数がバンッて出たので、逆に『すげぇな』って思いました」と喜んだ。

知らせは突然だった。当初代表だった羽生結弦(ANA)に続き、三浦佳生(東京・目黒日大高)も故障。前週のプランタン杯(ルクセンブルク)に向かうため、飛行機を降りたドイツ・フランクフルトで繰り上げ出場を聞いた。オフシーズンに向けて友人と旅行を計画していたが、そんなプライベートな時間も吹っ飛んだ。代役での国際大会の出場は5度目となる。

「追い詰められた人間の強さかな」

難しい状況下での好演技の理由を、そう説明した。

これまでは全ての繰り上げ出場時に自己ベストを更新。上位3人の記者会見では「過去4回、代打出場した経験もあり、すぐに覚悟が決まった。一番は腹をくくって会場に行くだけなので、何も考えず、覚悟を決めただけでした」と明かした。4年ぶりの大舞台。中1日で迎える26日のフリーも、さらりと終わらせるつもりはない。

「自分のご褒美になるような『ラ・ラ・ランド』ができたらいいな。一番は自分が楽しんで、出し切れたらいいと思います」

自己最高は5位。失う物は何もない。【松本航】

◆友野の繰り上げ出場

◇2016年 世界ジュニア選手権(15位、自己ベスト)※山本草太が故障

◇2017年 NHK杯(7位、自己ベスト)※村上大介が体調不良

◇2018年 世界選手権(5位、自己ベスト)※羽生結弦が故障、補欠1番手の無良崇人が辞退

◇2020年 4大陸選手権(7位、自己ベスト)※宇野昌磨が辞退