東京パラリンピック金メダルで、世界2位の国枝慎吾(38=ユニクロ)が、五輪王者の力を見せつけ決勝進出だ。日本男子対決となった準決勝で、16歳で4大大会にデビューし4強に勝ち上がった小田凱人(東海理化)に6-2、6-1で快勝した。4日の決勝では同3位のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)と対戦する。
国枝が「ライジングスター」と呼ぶ小田を寄せ付けなかった。日本の第一人者、世界王者、五輪王者として、世界を引っ張ってきた。その自負が「(ここで)しっかりたたいておきたい」と言わしめ、国枝は小田の前に世界の壁となって立ちはだかった。
今年1月の全豪前哨戦で初対戦。ストレート勝ちとはいえ、両セットともにタイブレークと競った。しかし、それは国枝に言わせると「初見だったので情報がないままプレーしたから」という。今回は、「データもあって、想定の範囲内だった」と、すっかり小田の弱点を見抜いていた。
16年リオデジャネイロ・パラリンピックが終わった年末。手術しても、プレーすると痛みが出る右ひじに、妻愛さんに「引退」を口にした。今年の全豪決勝までは、東京パラ後のモチベーション低下で、「何度も辞めたいと思った」と、これも引退が頭をよぎった。
同じ引退でも、意味合いは大きく違った。「(16年が)苦しみの方が上回っていた」のに対し、東京の後は「満たされてしまった」。そこから抜け出すのに見つけたのが、技術や展開の新たな向上だった。
38歳になっても進化を止めない国枝に対し、小田は「国枝さんは、あらためて強かった」と完敗を認めた。今回、日本男子の世代交代は起こらなかった。しかし、再び、日本の車いすテニスの歴史が動き始めたことは確かだ。
◆全仏オープンテニスは、5月22日から6月5日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでライブ配信される。



