国際スケート連盟(ISU)は7日、タイ・プーケットで開催中の第58次総会でフィギュアなどの年齢引き上げについて議論し、2024-25年シーズンからシニア大会の最低参加年齢を17歳とすることを決定した。

各国の代表者から、低年齢スケーターへの心身の負担、健康への懸念、選手寿命への影響などが示された後、電子投票が行われ、引き上げについて賛成100票、反対16票、棄権2票で可決された。

成立要件となる3分の2(79票)以上が「YES」に投じられると、場内からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。

今後は段階的に引き上げられ、7月1日から始まる来季22-23年シーズンは15歳のまま、23-24年シーズンから16歳、24-25年シーズンから17歳になる。

これで、次の26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪(オリンピック)の出場資格は17歳以上に確定した。五輪前年の7月1日までに17歳に達している必要があり、日本女子で唯一、大技の4回転トーループ(T)を跳ぶ島田麻央(13=木下アカデミー)はその時点で16歳のため出場できなくなった。夢は、札幌市などが招致に立候補している30年大会に持ち越しとなる。

スピードとショートトラックにも適用される中、特にフィギュア女子は低年齢層の金メダルが際立っていた。18年平昌五輪のアリーナ・ザギトワや98年長野五輪のタラ・リピンスキーは15歳。94年リレハンメル五輪のオクサナ・バイウル、02年ソルトレークシティー五輪のサラ・ヒューズも16歳。加えて五輪後に引退することが多く、選手寿命の短さが問題視されていた。

ISUのアスリート委員会が20年12月と21年1月に実施したアンケートでも86・2%が引き上げに賛成していた。

今年2月の北京五輪にはROC(ロシア・オリンピック委員会)から、世界最高点を持つ15歳のカミラ・ワリエワが出場した。ドーピング問題が表面化した際には、世界反ドーピング機関(WADA)の規定で16歳未満は「要保護者」となっていて制裁を免れたため、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場継続を容認した。その判断が物議を醸し、健康問題も含めて年齢制限改定の流れが再び強まっていた。【木下淳】