6季ぶりのB1復帰を果たした仙台89ERSが1日、22-23年シーズンの新体制を発表。代表取締役会長に楽天野球団で執行役員営業本部長、J1神戸で副社長を務めた森井誠之氏(47)が就任した。森井新会長が日刊スポーツのインタビューに答え、89ERSのさらなるブランド力アップを図り、将来のB1優勝を目指すと断言。さらに、26-27年シーズンから始まる「新B1参入」に向けて、意気込みを語った。

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森井新会長は、07年に楽天野球団に入社。13年に球団史上初のリーグ優勝と日本一を経験した。「(優勝当時は)一体感がありました。選手をはじめ、会社を運営する人たち、周辺の街やファン、それらを支えていただけるクライアントの方々。いろんな方々が同じ方向を向いて連携していた。それが大きくなっていった時に優勝に向かっていくということを体験しました」。その貴重な経験を89ERSに還元する。今回の就任について森井新会長は「B1で戦っていくための基盤づくり、その助けができるのであればと、引き受けさせていただきました。身の引き締まる思い。『やってやろう』という思いだけ」と語り、続けて「89ERSを中心に仲間を増やして、みんなと一体になって優勝を目指す。これが僕のミッションだと思っています。今までの経験をそこに生かしていければと思います」と決意表明した。

そして、26-27年シーズンからスタートする「新B1参入」への大きな課題として「89ERS」の認知度アップを挙げた。新B1の入会基準は「平均入場者数4000人以上」と「売上高12億円以上」。この基準を知った森井新会長は「『そんな厳しい基準があったんだな』というのが率直な感想でした」と語り、「きちんとした経営基盤としてこれぐらいが必要とリーグが判断し、僕らに課した宿題。しっかりとこの宿題をクリアしていくしか方法はない」と続けた。

「89ERS、B1昇格」のニュースに仙台の街は盛り上がったが「仙台89ERSに対するファンが必要。チームのファンはいるのですが、89ERSという会社自体のファンが少ない。街のどこに行っても話の中で『89ERS』という言葉が聞こえてくる状況を作りきれていない」と現状を分析。「まだまだ僕らは全然認知されていない。東京の人に、仙台のバスケットといえばと尋ねて『89ERS』と言ってもらえるのかというとそうではない。世の中の関心はやっぱり圧倒的に野球。仙台であればその次に89ERSが(話題に)取り上げられるようにしたいし、何なら野球よりも先にニュースに出るぐらいのつもりでやっていかないといけない」と、現在の認知度が楽天イーグルスに比べるとまだまだ低いと指摘した。

18-19年シーズンから掲げるチームスローガン「Grind!」には「どんなに苦しい状況でも歩みを止めることなく、つらいことも退屈なことも苦しいこともすべて粘り強く、泥臭く乗り越えてやろう」という思いが込められている。森井新会長は「仙台89ERSは『Grind!』という言葉通り『泥臭くいくぞ』という、内に秘めた闘志が体現され、粘り強い戦いをしている印象」とチームカラーを評したが、その一員となって目指すのは「B1優勝」だ。「B1で優勝をするために僕らはやっていきます。『簡単に言うな』と思われるかもしれませんが、僕らはそのつもりで体制をつくり、会場をつくってやりますので、皆さんも同じ思いを持って足を運んでいただきたい」とブースターに共闘を呼びかけた。これまでのカルチャーを継承しながら「新生89ERS」の土台づくりと発展のため、手腕を発揮する。【濱本神威】

◆森井誠之(もりい・まさゆき)1974年(昭49)7月26日生まれ。47歳。神奈川・川崎市出身。明大から99年4月、オリコム入社。07年1月、楽天野球団に入社し、15年3月、執行取締役営業本部長に就任。18年2月からJ1神戸に出向し、19年7月から22年3月まで副社長を務めた。