フィギュアスケート男子の冬季五輪2連覇王者、羽生結弦(27=ANA)がプロ転向を正式表明した。

19日、都内ホテルで記者会見を開き「プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意しました」と宣言した。スーツ姿で、競技会の第一線から退く決断にも「寂しさは全然ない」と吹っ切れた表情だった。今後は新機軸のアイスショーも考案。2月の北京五輪で世界初認定されたクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)は、初成功へショーの中などで挑戦していく。

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プロ宣言した羽生は「今後、競技会に出るつもりはないです。結果として取るべきものは取れたと思ってます」と未練なく語った。スーツ姿で、くしゃくしゃの笑顔。時には涙声で心境を口にした。アマチュア引退の決断時期は「平昌五輪の後や(慢性痛の右)足首を治す期間にいろいろと考えた時、いつまでもこのステージにいる必要はないかなと思った」と説明した。

輝かしい最前線から退くことには「平昌五輪で引退しようと…引退の言葉が好きじゃないので使いたくないんですけど」と笑いつつ「2連覇してからがスタートと心から言える時期があって、今はその心境」。落ち目ではなくピークから第2の挑戦を始める感覚だ。

今後は新機軸のアイスショー創設など夢がある。「まだまだ頭の中の構成を伝えただけ」としながらも、露出が限られる競技者とは異なる「もっと今の時代にあったスケートの見せ方、見たことない方への見せ方」などを模索する。既存の枠にとらわれないプランがあふれている様子で「期間がいつになるとか具体的には難しいけど、ぜひ期待してほしい」と夢を語った。

公式戦には出ないが、成功を目指す4回転半の挑戦は続ける。「ショーは華やかな印象がありますが、もっと難しいことにチャレンジしたい。戦い続ける姿を見てほしい」と試合さながらの舞台として跳ぶ。プロスケーターの概念も変える挑戦になるかもしれない。

「北京五輪では『伸びしろないのかな』と思ったんですけど、今は伸びしろをいっぱい感じてます!」。最後は代名詞の「SEIMEI」ポーズで記念撮影。いつもの「ありがとうございましたぁ」の地声で1時間の会見を締めくくった。

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