【ニューヨーク=吉松忠弘】世界95位のダニエル太郎(29=エイブル)が1回戦で敗れた。13年大会ベスト4、元7位のベテランで、91位のリチャール・ガスケ(36=フランス)に4-6、7-6、2-6、2-6の4セットで力尽きた。

この日は暑さよりも湿度が高く、消耗戦にはこたえた。お互いに体力が奪われたが、セットを分け合った第3セット以降、ダニエルが打ち過ぎで自らの首を絞めた。「自分を削ってしまった」。ダニエル言葉で言う「自滅」だ。

体力が落ち、速い展開で点を奪いたい。それが打ち過ぎとなり、カウンターを待っている相手の思うつぼ。「何で、こんなに体力が落ちたのかと、自分を説教してしまった」ことで、余計に自分を精神的に追い詰めた。

同じ疲れ方でも、相手は「ただ体と戦っているだけ」。しかし、ダニエル自身は「体と自分の頭と戦っている感じがあった」。体力だけでなく、思考力も落ち、元世界7位の経験にはまった。

自らの生い立ちを、叱られ続けてきた人生だと話す。日本で中学校途中まで育ち、その後、スペインに移り住んだ。「日本でもスペインでも、スパルタ系の教育を受けてきた」という。「テニススクールでも、親にも叱られっぱなし」。埼玉・久喜市立太田小時代に、学習塾の公文に通い、「公文でも叱られた」という。

しかし、高校を卒業し大人になると、叱る人がいなくなった。「その結果、自分で自分を叱って、育ってきた人生だった」。その癖が、ダニエルが追い詰められると顔を出す。この日も、自分を叱り、気持ちを混乱させた。

しかし「まだ29歳。できれば7~8年。乗り越えてやって行きたい。できるポテンシャルは絶対にある。前を向いて進むだけ」。現在、世界95位。約3年ぶりにトップ100に復帰し、「絶対にできると信じている」。

◆全米オープンテニスは、8月29日から9月12日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでも全コートでライブ配信される。