元職員による横領などの組織的隠蔽(いんぺい)など一連の不祥事に揺れる日本バドミントン協会で、臨時評議員会が3日午後に都内で開催される。

同協会は、辞意を完全否定していた関根義雄会長が一転して、銭谷欽治専務理事とともに引責辞任することを先月27日に発表した。とはいえ両者の辞任は今月末日付に設定されている。それまでの“猶予期間”に、自分たちの影響力が及ぶ後継擁立を画策するとの見方が多い。

その動きに待ったを掛けようとする流れも存在する。3日の臨時評議員会招集を請求した茨城県協会理事長の木内広史評議員は、現執行部に対する不信感を口にする。「自浄能力がない組織になってしまっている。かいらい政権がつくられては、これまでと変わらない」。理事の総辞職を提案する意向を持つ。

評議員会は理事解任の権限を持ち、過半数の同意で成立する。ある元評議員は、「3分の2ならハードルは高いが、過半数なら全理事解任の可能性はある」と分析。これまでは報復を恐れて執行部批判をためらう空気が濃かった。しかし一連の不祥事に対する世間の関心の高まりも受け、現体制を疑問視する声は着実に大きくなっている。

隠蔽(いんぺい)に深く関与した銭谷専務理事ら3人への処分は「厳重注意」、関根会長ら8人の処分は「注意」にとどまった。理事会が下した裁定への反発も大きく、実業団チームの関係者は「甘すぎる。本来なら辞任ではなく、解任だ」と断じる。

協会内部に詳しい関係者は、これまで一枚岩だった“関根-銭谷体制”に、ほころびが出ていると明かす。執行部内における勢力図の変化も、理事解任を求める声を後押しすると読む。

とはいえバドミントン協会は日刊スポーツの取材に対し、「(理事解任は)議題に上がっておりませんので、11月3日の評議員会では決議されません」と2日に回答。議題とされていない以上、話し合いの余地はないことをほのめかす。票の行方以前に、理事解任案が発議されるかがまずは焦点となりそう。前出の元評議員は「いずれにせよ、今度の評議員会は紛糾必至」とみる。

一連の不祥事を受け、来年度は国からバドミントン協会への強化費が2割削減することが決定済み。さらに、適切な組織統治がなされているか判定する「スポーツ団体ガバナンスコード」の審査で不適合となれば、来年度の強化費はゼロになってしまう。24年パリ五輪を目指す選手への影響は避けられないなかで、果たして建設的な話し合いはなされるのか。【奥岡幹浩】