8大会連続の全日本選手権(12月、大阪)出場を目指す本田真凜(21=JAL)が、1本のジャンプからきっかけをつかんだ。

52・34点の6位発進。上位7人の全日本切符へ安心はできない位置だが「試合となった時に想像するネガティブ(なイメージ)よりは、いい演技ができました」と手応えがあった。

進歩の証しを刻んだのは、3回転サルコーだった。この日は3回転-2回転の連続トーループに続く2本目に組み込み、0・77点の加点で成功。クリーンなジャンプがタンゴの演目を引き立てた。

サルコーは基礎点4・30点で、ノービスB(6月30日時点で満9~10歳)時代も演技最終盤に成功させていたジャンプ。だが、東京選手権(9月30日~10月2日)ではSPでクオーター着氷(4分の1回転不足)、フリーでは1本目で転倒、2本目もクオーター着氷と苦しんでいた。

「(この日の)2本目(サルコー)は、自分の中でも『うまくできたな』と思っています。しっかり回って、降りてくるのが、今の課題。回転不足を取られないように意識しています」

この春から明大の3年生。大学のゼミでは自治体経営について学んでいるという。「『自治体経営って何?』というところから始まりました。中学、高校はスケートをメインにやってきた。大学は自分で授業を決めて、単位を取る。いい経験ができていると思います」。シーズン中は学業、スケートに集中できる環境を整えているといい、考え方の変化にも触れた。

「昔は『練習が絶対に試合に生きる』とは考えていませんでした。割と試合でできていた。でも、自信を持てるように練習するのが大事。何か1つのことに集中して、がむしゃらにできるのも、長い人生を考えると(これまで)やってきた(時間)よりも少ない。たとえ苦しくても、その時間を大切に『今しかない』と思ってやっています」

5日のフリーは全日本選手権の切符が懸かる。

大阪・東和薬品ラクタブドームでの全日本選手権は、ジュニア2年目に好演技で4位に食い込んだ思い出の地でもある。

「全日本っていうのは、何回出ても、自分の中で特別な試合。今年も絶対に出たいです。ジャンプに集中して、1本ずつ、きれいに降りられたらと思います」

SPでの成功により、イメージを体に染み込ませたサルコー。4分のフリーで、悔いを残さないための道しるべになる。【松本航】

【関連記事】フィギュアニュース一覧>>