総合スポーツメーカー大手のミズノ(本社・大阪市)は8日、研究開発力強化を目的とした新施設の発表会を行った。

イノベーション(開発)センター「MIZUNO ENGINE」と名付けられた施設は総工費約50億円。地上2階の延床面積6500平方メートルで、あらゆるスポーツ競技に対応する。

この日の発表会には同社の水野明人社長をはじめ、所属する陸上短距離の飯塚翔太(31)、やり投げのディーン元気(30)、女子短距離の児玉芽生(23)にサッカーJ1名古屋グランパスのFW永井謙佑(33)、MF内田宅哉(24)、甲田英将(19)が参加しデモンストレーションを行った。

水野社長は冒頭で「商品は命。消費者が喜んで使ってもらえるものを作ることが我々の使命。この施設で『計る→作る→試す』のサイクルを早く回していくことでそれが実現できる」と狙いを説明した。

◆陸上短距離 全天候型の90メートル直線トラックが設置。飯塚と児玉がモーションキャプチャーをつけて実際に走行し、動作解析が説明された。

児玉に比べて「地面を蹴る力が5倍」との説明を受けた飯塚は「数字として出してもらえるのはありがたい。今年の世界選手権は準決勝で落ちた。(パリ)五輪につながる来年の世界選手権で結果を出せるよう生かしていきたい」。今年の世界選手権で400メートルリレーメンバーに選出された児玉も「自分の課題はスタート。データを見ると関節がどれだけ伸びているかとかが分かるので改善につなげたい」と意欲的に語った。

◆陸上男子やり投げ ディーンは3Dボディースキャナーでの形態・筋力計測に臨んだ。0・5秒で全身のあらゆるデータが測定できる、すぐれもの。今年の世界選手権で9位に終わったディーンは「利き足の右に比べ、左がいかに細いかが分かる。左右に差が出てしまう競技ではあるが、差が大きいとパフォーマンスというよりけがにつながるリスクが大きい。ミリ単位で実際に数値で示されるのは大きい」と歓迎した。

◆サッカー 特別な装置ではなく、特殊なユニホームで骨の動きまで解析できる。元日本代表FW永井は「何も装着していないのにデータが出るのはすごい。ここからどんなデータが出るのか楽しみ」と活用する意気込みを示した。

最新鋭の設備をそろえた施設から、世界で戦える選手を多種にわたり、多く生み出していく。