リズムダンス(RD)5位の村元哉中(29)、高橋大輔(36)組(関大KFSC)が103・68点、合計178・78点で6位で大会を終えた。

リフト、ダンススピン、大幅に変更してきた後半のダイアゴナルステップシークエンスなどでフリーの演目「オペラ座の怪人」の世界を表現した。「クリスティーンとファントムで、役になりきって、物語性のあるものを。その時の感情を大事に思い切り演じたい」と高橋が描いていた演技を、母国の観衆の前で初披露した。

滑り終わると、しばらく高橋は立ち上がれなかった。「いろいろな気持ちがあって」と肩で息をしながら村元と見つめ合った。あえてペース配分を考えずに最初から飛ばし、「後半、脚にきてしまった」と振り返った。最後のリフトでは、村元から「『踏ん張って!』か『頑張って!』と声をかけてくれて」。耐えて滑り抜いた。

試合前、いま競技に臨む心境を語っていた。目標を聞かれると、「納得する演技をしたい」と語ってきた2人だが、同時にその時は訪れないことも感じているという。

高橋は言う。「納得することはないのかな。一生言うと思うので(笑い)」。シングル時代から長く現役を続けてきて、常に向上を目指してきたからこそ、終わりはないと分かっているのだろう。村元も隣でうなずいていた。

ただ同時に、感じていることもある。高橋が続ける。

「お客さんの反応や、自分たちの演技の気持ちが一致した時のような演技とかは、すごく自分たちの中でも満足感の高い演技になるのかなと思います」。

一体感を感じるような演技をしたい。その気持ちは、母国大会なら一層だっただろう。この日は「100%のベストな演技ではなかった。悔しい」(高橋)とかなわなかったが、次がある。村元は「もっともっと滑り込んで、完璧なオペラ座を滑りたい」と表情を引き締めた。【阿部健吾】

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