ショートプログラム(SP)6位の佐藤駿(18=明治大)が、ノーミスのフリーで巻き返し、順位を4位に上げた。フリー173.54点の合計250.16点。19年ジュニアGPファイナルで優勝した思い出のトリノの地で、2人を抜いて意地を見せた。

冒頭、大技の4回転ルッツを決める。さらに4回転-3回転トーループの2連続にトリプルアクセル(3回転半)からの3連続と降りていく。2本目の4回転トーループも成功させた。

ただ、ノーミスにも演技後は右拳を控えめに握るだけだった。

「正直、ショートのミスもあったので。フリーではノーミスの演技をやらないといけないと当然、思っていましたし、まだ(4回転)フリップも入ってないですし。うれしかったですけど、表情には出しませんでした」

GPシリーズ第6戦フィンランド大会で記録したフリーの自己ベスト180.62点にも届かず「全体的にミスもなく、技術点は良かったですけど(3)コンポ-ネンツ(演技構成点)が出なさすぎかなと。そこは悔しい。正直、もっと出てもいいのかなって思いました」と、続けて悔しさをのぞかせる場面もあった。

ただ、上向く状態には手応えをつかんだ。

「フリーを、フィンランドと2回ともノーミスできたのはうれしくて。結果には結びつかなかったですけど、自信にはつながった」

振り返れば、上々の復活劇だ。今年2月10日の北京オリンピック(五輪)男子フリー当日に左肩を手術してから10カ月。先が見えなかった22-23年シーズンの前半戦に、初のファイナル舞台まで到達した。

言葉通り、まだ4回転フリップまで戻せておらず、完全復調とは思っていないが「今季最初の試合だったブロック(東京選手権。205.76点で4位)では、どうなることかと思っていたんですけど、ファイナルまでたどり着けて。今はすごくうれしく思っています」と納得の部分も大きい。合計スコアも50点近く伸ばしてきた。「全日本でも、いい演技をしたい」。ノーミスのフリーを心の支えに全日本選手権(21~25日、東和薬品RACTABドーム)へ向かう。