ショートプログラム(SP)で18位と出遅れた渡辺倫果(20=MFアカデミー)は127・76点をマークし、合計183・99点と巻き返した。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半)を降りきると、得意の3回転ループを続けて流れに乗った。後半に転倒はあったが、持ち味は発揮した。

22日のSPでは、3回転半が回転不足となり、勢いに乗れず、続く3回転ルッツも着氷が乱れた。「変な緊張があったし、やっぱ6練(6分間練習)でいいからって、試合でいいわけではないので。弱さが出ました」と、取材エリアでは涙を流す姿もあった。

9月のチャレンジャーシリーズ・ロンバルディア杯で優勝を果たすと、代替出場となったグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダで初出場初優勝。第5戦NHK杯の5位の結果と合わせ、今月上旬のGPファイナル初出場を遂げて4位に。ニューヒロイン候補として注目を集めていた。

それが重圧、気負いになったと悔やみながら、時間がたつと持ち前の負けん気も復活。「まだ弱さが出た。でも、もっと伸びしろがあると思っています。いや、伸びしろしかないので、私。今季前半戦の成績を考えれば、悔しさもありつつ、まだまだ上に行ける」。

キスアンドクライでつぶやいた「まだまだや」の言葉を胸に、フリーに臨んでいた。