ショートプログラム(SP)13位と出遅れた三浦佳生(17=オリエンタルバイオ/目黒日大高)が171・43点、合計242・55点と巻き返した。

「美女と野獣」の世界を表現するプログラム。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)、続く4回転トーループは着氷が乱れたが、ここから意地を見せた。4回転サルコーを決め、そして後半の4回転トーループ。本来は前半で4回転-3回転の2連続トーループにするはずだったが、後半を4回転-3回転に付けてリカバリーした。体力的にきつい後半に巻き返し、フィニッシュ後、力強く両手を握ってガッツポーズした。

「内容としては、まだまだ課題が残るものが多いんですけど、その中でも後半にリカバリーできて、ガッツポーズが出た感じなのかな。ショートで落ちるところまで落ちて、この2日間苦しかったんですけど、仲間が励ましてくれたりしたので。みんなの力で立ち直ることができたので感謝したいです」

仲間とは、ジュニア時代から親友の佐藤駿と鍵山優真だ。試合がなかった前日24日に3人で大阪城へ行ったといい「駿からは適当な感じで『お前なら大丈夫だよ』と。大阪城では、なぜか『ホゲータ』というポケモンのぬいぐるみを優真が買ってくれて。『これ持ってれば大丈夫だよ』って。何でか分からないんですけど、特に思い入れもないホゲータというポケモンに助けられたのかな」と取材エリアで爆笑を呼んだ。

2日前のSPでは4回転のトーループもサルコーも転倒。「試合に合わせられなかった自分が悪い。全部ダメ。何もない。最悪のショートはいったん忘れて見つめ直さないと。いい演技が必須になってくる」と誓っていた中、もともと技術力は高いだけに、メンタル面の安定が好演技を呼んだ模様だ。

シニアに本格参戦した今季は10月のグランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカ、第2戦スケートカナダと連続で銀メダルを獲得。GPファイナルにも出場し、鮮烈な印象を残した。ファイナルも、フリーでミスが出ながら最後に4回転トーループに再挑戦して「最後4T」が話題になった。今回のリカバリーと合わせ「来年につながるチャレンジができた」と前を向き「今年1年は『ブラボー!』でした」と流行語で飛躍の22年を締めくくった。【木下淳】

【フィギュア】宇野昌磨24番、島田23番、鍵山19番目に滑走/全日本男子フリー速報中