7度目の日本一へ、Aシード東福岡が力強い1歩を踏み出した。トンガ人留学生を擁する開志国際をパワフルなディフェンスで崩して、堅実な9トライを量産。失点を7に抑え、危なげない試合運びを見せた。96回大会(16年度)から遠ざかる優勝をもぎ取るため、今年の東福岡は“守り攻め”で相手を制圧する。

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日が傾き、照明のともった第1グラウンド。冷え込む花園で、東福岡が地味に、真面目に動いた。試合開始からボールをキープし、懸命にゲインを切ろうとする開志国際が前に出る前に止める。ゴツゴツと体をぶつけ、ゲインさせるどころかジワジワ下がらせた。たまらずペナルティーを犯した相手から、タッチキックでエリアを奪う。敵陣右ラインアウトから、20メートル以上もモールを押し込み、先制した。

藤田雄一郎監督(50)は苦笑いして言った。「見ていて、おもしろくなかったでしょ? でも、あれが今年のチームの象徴的なプレー」。個々のタレントを生かすより、FW、BKでしっかり崩し、着実に重ねた9トライを喜んだ。

6大会前の優勝から、5大会連続のベスト4。とんでもない安定感だが、東福岡には喜べない。覇権奪取に「5年ですから。何かを変えないと、シフトチェンジしないといけない」と藤田監督。破壊的なアタックで花園を沸かせてきたチームが、ディフェンスに力を注いだ。練習の比率は、指揮官いわく「7割」。この1年、いつも選手に同じ言葉をかけてきた

「ボールを持っていない時、ハッピーになろう」

ディフェンスで押し込み、プレッシャーをかける。しんどい作業だが、献身的なタイプがそろった現3年中心のチームにはうってつけのスタイルだ。

高校日本代表候補が8人もいる。その上で手堅さを全面に出して、勝利を求める。「キックで相手にボールを与えておいて、ディフェンスで押し込むのが今年のスタイル。それを1年やってきたし、どこが相手でも変えません」。フランカー大川虎拓郎主将(3年)は胸を張り、自信満々に言い切った。

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