スキップ藤沢五月(31)にいつもの笑顔が戻った。

カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが、スコットランドとの1次リーグ第3戦に臨み、9-8で今大会初勝利を挙げた。一時は5点差をつけられたものの、最終エンドで4点を奪取し、大逆転勝利をつかんだ。

序盤は藤沢の表情がさえなかった。1-0の第2エンド(E)ではラインコントロールに乱れが生じ、まさかのスルー。「またこんな展開になっちゃったか…」。2連敗を喫した前日と同様、氷への対応に苦戦した。

そこに光が差したのは、2-6で迎えた第6E。藤沢の第7投は、相手がNO・4までを握る状況で巡ってきた。難しい局面の中、藤沢は自チームの石に押し当て、ハウスの中心の相手ストーンを2つはじき出してみせた。

難しいショットを決めると、ようやく白い歯がこぼれた。「さっちゃんナイス!」。そう声をかけるサード吉田知那美(31)と、笑顔でハイタッチを交わした。そこから少しずつ、表情に明るさが漂い始めた。

5-8で迎えた後攻の第10Eでは、ハウス内の相手ストーン1個を打ち出せば、勝利が決まる状況でラストロックが巡ってきた。約40メートル先の吉田知から「当たればいいんだ」と声が飛ぶと、そこでも笑みを浮かべる余裕があった。落ち着いて投じた最後の一投。狙い通りの軌跡を描き、相手ストーンを押し出した。勝利を収めると、4人はシート上で抱き合いながら喜んだ。

試合後も笑みがはじけた。

「点数差的には諦めてしまいそうな展開ではあったんですけど、自分たちを信じて最後の最後まで粘って戦った」

ロコ・ソラーレは銀メダルを獲得した16年以来の出場となる。その当時は決勝でスイスに敗北。藤沢は涙を流しながら「もっと強いスキップにならないといけない」と誓っていた。

あれから7年。今大会が始まる前には、こう覚悟を口にした。

「他の国はほとんどメンバーが変わっている中、同じメンバーで、そこに(石崎)琴美ちゃんも加わって、また世界選手権へ出られる感謝の気持ちと、7年間をどう過ごしてきたのか、どう成長したのかを発揮する舞台でもある。どこまで自分の実力が通用するのか、チャレンジ精神で向かいたい」

この1勝を皮切りに。“強いスキップ”に成長した姿を示すべく、藤沢はアイスに立ち続ける。