男女も含めて日本勢初となる「年間グランドスラム」を達成した「りくりゅう」こと三浦璃来(21)木原龍一(30)組(木下グループ)が、自己ベスト更新となるフリー143・69点をマークし、2位となった。三浦は「1シーズン、1シーズンを重ねるにつれて、本当に成長できていると思う」と受け止めた。

冒頭の3回転ツイストリフトを決めたものの、続く3連続ジャンプで三浦の1本目の3回転トーループが乱れた。それでも後半ではスロー3回転ルッツに成功。3月の世界選手権では転倒したスロー3回転ループも決めた。

三浦は覚悟を決めて、このフリーへ挑んでいた。

「世界選手権で自分はサルコーのパンクとループでこけて、気持ちが負けていたので、その負けていた自分に今回は負けたくなかった」

引き締まった表情で言葉を続ける。「絶対跳ばなきゃと。それが多分、いい感じに変えられたのかな」。連続ジャンプでミスをした後も、集中を切らさなかった。

その演技を終えると、木原に頭をなでられた。いつもよりも、ちょっとだけ痛かった。

「力加減を誤って。いつもより優しくない! 怒られたのかなって一瞬思って」

そう明かした時、報道陣の前で初めて三浦の表情が緩んだ。木原と視線を交わらせ、2人で笑い合った。

今季は開幕前に三浦が左肩を脱臼。9月まで初戦を迎えられず、年末の全日本選手権では飛行機の遅延とロストバゲージなどで出場できないアクシデントもあった。それでも、国際スケート連盟(ISU)主要タイトルを総なめ。3月の世界選手権で金メダルを獲得するなど、成長を示すシーズンとなった。

木原は大粒の汗をタオルで拭った後、この1年の道のりを思い返し「難しいシーズンの入りだったので、こういったシーズンを送れるとは思っていなかった」と実感を込めた。

木原は来季を見据えている。

「今のままだと世界のトップの方たちが戻ってきたらまた勝てないと思う。そこは修正していかないといけない」

現状に満足することはない。さらなる飛躍を期し、次へ向かう。【藤塚大輔】