ラグビーリーグワン1部の静岡ブルーレヴズは、旧ヤマハ発動機から新リーグ発足に合わせる形で2021年に新会社を発足させ、7月で丸2年を迎える。2季連続の8位で終えた今季だったが、コロナ禍の制限は昨季より緩和され、集客や各活動面で右肩上がりの成果を残した。

昨年7月のシーズン始動時、山谷拓志(やまや・たかし)社長(52)は今季スローガンに「REV UP(レヴ・アップ)」を掲げた。チーム名の一部を使い、エンジン回転数を上げて加速させるといった意味。さまざまな面で初年度を上まわることを目標に活動してきた。その結果、ホーム戦の総観客動員数は倍近い伸びを達成。五郎丸歩CRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー、37)をはじめ事業部スタッフが街頭で行ったポスター貼りやチラシ配りが実を結んだ。

ただファンを増やすだけでなく、競技の普及活動にも旧チーム時代以上に力を注いだ。今季の活動回数は昨季の倍以上。普及担当らが日々、パートナー協定を結んだ市町の学校や幼稚園などで子供らを指導し、ラグビーやチーム名を覚えてもらった。山谷氏は協定締結時、「いろいろなイベントで我々を利用して」ともPR。昨年夏には浜名湖で行われた釣り大会イベントにも選手が登場。タックル体験やトークショーを行うなど、選手らも可能な限り協力してきた。

チームを支える地道な活動により、先月23日のホーム(ヤマハスタジアム)最終戦ではチームの過去最高となる1万2203人の観客を集めた。選手入場時、バックスタンド中央部では観客が色紙を掲げてチームエンブレムを表現。ピッチに入ってスタンドを見上げた選手らは「うれしかった」と感想を述べ、一体感を生んだ。山谷氏は同日のうちに試合後、チーム公式ホームページでファンをはじめとする各方面に感謝を伝えるコメントを掲載した。

その中で「来シーズンはヤマハ発動機ラグビー部の創部から40年の節目。いち早くシーズンが終わってしまったチームは、次のシーズンを一番早く始めることができるチームです。着実にそして確実にステップを踏みしめ、皆様のご期待にしっかり応えることができるチームづくりとホストゲーム運営を実現し、強く愛される世界一のプロラグビークラブを目指して参ります」(一部抜粋)と来季に向けた決意を示した。【倉橋徹也】