フィギュアスケート男子で世界選手権2連覇中の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)が6日、将来のコーチングへの興味について言及した。

名古屋市内で契約する医療機器メーカー「コラントッテ」のトークイベントに参加。ファンからの質問コーナーでは「将来、コーチをしてみたい気持ちはありますか?」と問われた。

マイクを握った宇野は「結果からいうと、ないと思います」と切り出し、理由を明かした。

「自分の中に考えがあるんですけれど、特にジャンプに関しては自分の経験から『こうした方がいい』というのがあったりします。それをその本人に言葉だけで伝えるのでは、意味がないと思っています。納得してもらわないと意味がない。それが自分でやることよりも難しいことだと分かっている。あと(コーチは)めっちゃ大変そうなんで(笑い)。ずっと氷の上に乗っていないといけないので、むちゃくちゃ大変そう。そういったところ(が理由)かなと思います」

同席した世界選手権6位の友野一希(24=上野芝スケートクラブ)からは「(何かに特化した)専門のコーチとか、いいんじゃないですかね」と薦められた。宇野は「いや…」と首を横に振り、思いを口にした。

「教えるのって(対象者の改善点が)1日で直るわけじゃない。1日で直せるものは、絶対に1日で戻る。やっぱり正解が分からない物が多い中で、子どもはコーチに『それが正解だ』っていうのがほしい。僕がコーチだとすると『こうかもしれない』『君にこれが合うかもしれない』というニュアンスになってしまう。本当に難しいんだろうなと思います。僕が思うに(田中)刑事くんみたいに子どもの面倒見がいいとか、一希くんみたいにコミュニケーション能力がある人の方が、コーチに絶対に向いていると思います」

丁寧に理由を説明し、コーチングに対する自らのスタンスを示した。【松本航】