フィギュアスケート女子で22年北京五輪5位の樋口新葉(22=ノエビア)が来季、世界選手権を目指して復帰する。

1日、日本サッカー協会(JFA)こころのプロジェクト「夢の教室」の講師役として、千葉県市川市立稲荷木小で、夢を持つ事の大切さなどを、実体験を基にして伝えた。

5年生を対象に「ゲームの時間」では、その場で2回転ジャンプを見せると、生徒から驚きの声が上がった。チームワークの大切さ、話し合いの重要性を身をもって体験してもらうプログラムに参加した後は、教室での「トークの時間」となった。

「わかば先生」としてチョークで黒板に描いていったのは、3歳でスケートを始めてから、夢をかなえるまでの道のり。オリンピックを目指したが出場がかなわなかった18年平昌大会から、18年世界選手権の銀メダルをきっかけに、北京大会代表を決めるまで。「1番大事なことはあきらめない事」など、熱く語りかけた。

「将来につながるようなことだったりとか、夢について考えてもらえる時間が増えればいいなって感じました」。自身も小5の時に、この「夢の教室」に参加した経験がある。講師役はサッカーの井手口純だった。「すごい選手が授業してくれた記憶があります」。今度は話す立場で参加できたことを喜んだ。

いま、黒板のチャートで見れば、夢の先にいる。昨年9月、ロンバルディア杯(イタリア)を終えた後に、今季の全休を決断。団体銅メダルも獲得した北京後には、右すねの外側の骨を疲労骨折し、回復に努めてきた。今年に入り、4月に練習を本格的に再開し、5月にはアイスショーにも出演。「ジャンプも戻ってきている。アクセルはまだできてないんですけど、そのぐらいまで調子は戻ってきてる」と3回転も取り戻してきているという。

あらためて「今シーズンから試合に出るっていうのは決めてて」と言及もした。「全日本に出て、世界選手権まで行きたいと思ってる。あの、そこまで調子は戻せるかなと思う」と力を込めた。復帰戦は夏場の大会を予定している。「結果とかには、いい意味でこだわらないようにしている。自分がどこまでやりたいかとか、何をしたいかみたいなことだけ考えて、今、練習しています」。

この日、目を輝かせて聞いていた生徒たちにも、また試合で滑る雄姿を見せる。