女子決勝リーグでは、創部約2カ月の日本航空北海道が、2勝1敗の北海道予選2位で全国初出場を決めた。身長187センチのマリからの留学生ファトゥマタ・カマラ、エースでドイツ人の父と日本人の母を持つU-15ドイツ代表の180センチ庵原(いはら)有紗らの1年生15人で快挙を成し遂げた。

17日に1勝し、全国切符のかかった18日の決勝リーグ2戦目の北海道栄戦。長身のカマラが負傷でコートを離れても、1年生軍団の勢いは止まらなかった。カマラと交代でコートに入った各務愛佳(まなか)が8点を決めれば、宇都鈴々奈も19点をたたきだし、101-68で勝利。各務は「負けられない試合で出場するのは緊張しましたけど、自分が出ている時間にやられるのは嫌だったので」と、3年生中心の相手と互角に戦い、勝利をつかんだ。

99年に通信制の日本航空高校が認可され、山梨、石川、東京と同時に、北海道でもキャンパス運営が始まった。女子バスケットボール部は、北海道キャンパスでは初めて全日制高校中心の大会に出場する部活動として、今年4月に創部。男女ともバスケットボールの強豪ひしめく愛知県で、公立高校を4強まで導いた矢倉直親監督(61)が就任し、昨春から1年かけて、選手を集めた。「昨年10月までは1人もいなかった」(矢倉)というが、最終的には北海道内8人、北海道外5人と海外から2人の計15人が集まった。「全員1年生で、まだ体力もなくて、最後はヘロヘロでしたが、よく頑張った」。スピード全国切符に、矢倉監督の目からも涙がこぼれた。

今季は全部員が千歳市内の寮で一緒に生活する。7歳まで日本で育った庵原とは日本語、フランス語中心のカマラとはジェスチャーや翻訳機を使ってコミュニケーションを取る。休日は全員で札幌に出向き、ショッピングで気分転換。平日は週5日学校に通い、午前は主に競技に取り組む。

午後に教科授業を受け、その後、再び自主練習などで力を付ける。トレーニングは、コート2面のアリーナに、東京五輪の選手村と同じ機材と至れり尽くせり。今後はすでに今回の総体出場が決定している日本航空石川、強豪の山梨の姉妹校との3校リーグを定期的に実施。来春にはドイツでの強化合宿も予定される。

4月に創部してすぐ、矢倉監督はカマラとドイツから戻ったばかりの庵原を除く13人と、交換日記を始めた。1日の活動を毎日交代でパソコンに打ち込み、全員で共有。監督は欠かさず返信している。「とにかく早くチームを作るため、練習の中身やメンタル的なことも含め、人間的に成長できるようなことを書いています」という。カマラは身長こそ高いが、「技術レベルは初心者に近い」(矢倉監督)。矢倉監督が連日コートでの動き方を指導すると、「まじめで、必死に練習に取り組むので、試合でようやく武器になってきた」という。

大会最後の札幌山の手戦(18日)は53-82で敗れたが、第1クオーターは1点差と、予選トーナメントから4試合連続100点以上得点した、昨年末の全国準優勝チームを苦しめた。西川葵主将は「(中学の時に)テレビで見て憧れたチームと、1年目からプレーできてうれしかった。やっぱり強かったけど、通用する部分もあった」と、手応えを口にした。

寮も学校も一緒の敷地には、野生のシカが現れることもあるという。一番近いコンビニエンスストアまでは徒歩で20分以上かかるため、なかなか外にも出られない。「ちょっと食べたい時に、ゼリーも買いに行けない」(各務)が、競技に打ち込むには最高の環境だ。西川主将は「今回(総体)も、出るだけじゃなくて表彰台。3年目で優勝」と意欲的に話した。北海道でテークオフした15人が、ひとっ飛びで日本の頂点も狙う。【中島洋尚】

【女子】▽決勝リーグ最終順位 (1)札幌山の手3勝(2)日本航空北海道2勝1敗(3)札幌東商1勝2敗(4)北海道栄3敗