旭川実が今季総体・国体の2冠を制し、3冠を狙う下北沢成徳(東京)に0-3で敗れた。U-19日本代表でエースの笠井季璃(3年)は、両チーム最多の22得点を挙げたが、身長180センチ台の大砲を3人そろえる女王を崩しきれず、準優勝した1992年(平4)以来31大会ぶりの決勝進出はならなかった。

決まれば同点。外れれば敗退-。セットカウント0-2、24-25で迎えた相手のマッチポイント。フルパワーで笠井の放ったバックアタックが、ボール下半分だけネットにかかって自コートに落ちた。「まだまだできたことはあったんじゃないかと思うので、これは後輩に引き継ぎたいと思います」。主将が涙をこらえながら言った。

競り合いになった第3セット中盤には「あとはすべて任せてほしい」と、セッター井関芹花(3年)に声がけし、ボールを自分に集中させた。全体練習後も2人で居残ってタイミングを合わせ、寮ではトランプを楽しんだ。かけがえのないパートナーに、高校生活最後のわがままを言い、2冠女王に立ち向かった。

ラストショットを失敗し、一瞬だけ悔しい表情を見せ、すぐに笑顔を取り戻したエースには、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。「集中していたので歓声は味わえませんでしたが、試合後の拍手を見て、『応援されてたんだな』と感じました」と言った。

岡本祐子監督(45)は「堂々とベストを尽くし、堂々と帰れる結果。先輩の背中を見た後輩たちが、必ず何かを引き継いでくれる」と次世代に期待を寄せた。この日4得点を決めた堀田柚音(ゆね、2年)は「季璃さんのようなエースはいませんが、全員で点を取るチームを作って、またセンターコートに来ます」。大エースの残した余韻は、必ず次の時代の挑戦に、継承される。【中島洋尚】

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