【上海(中国)1日=竹本穂乃加】22年北京五輪銀メダルの鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)が、今季SP世界2位となる106・82点を記録して首位発進を決めた。最近2大会でミスが続いた4回転サルコーを成功させ、2位の佐藤駿(エームサービス/明大)に7・62点差をつけた。

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両手を軽く1度合わせ、握った拳を力強く突き出した。昨年12月の全日本選手権、1月7日に幕を閉じた日本学生氷上競技選手権(インカレ)とミスが続いていた冒頭の4回転サルコーを成功。鍵山は「守りに入らずにとにかく攻めることができた」と喜んだ。

今大会勝ちにこだわる20歳は、自信のオーラをまとい「良い練習が積めてきている」と繰り返した。公式練習でも4回転ジャンプを次々と着氷。4回転サルコーのGOE(出来栄え点)4・16は「運」ではなく、練習通りの完成度だった。

ただし、まだ納得してはいない。自己ベスト(108・12)に肉薄する高得点が表示された直後、こみ上げてきたのは「マリニン選手にはまだかなわないんだ」という思いだった。イリア・マリニン(米国)の今季ベストは、今季SP世界最高の106・90点。0・08点が口惜しかった。「まだまだ伸びしろがある。全部パーフェクトであれば、勝てる可能性もある」。飛び出したのは、やはり「勝ち」だった。

左足首故障からの復帰シーズンとなる今季。目標の世界選手権(3月、カナダ・モントリオール)代表にも選出され、この大会は初優勝と、大舞台に向けた「チャレンジ」の場と捉えている。父の正和コーチも「自信を取り戻すという意味でも、とても大事な試合」と注視する舞台。大舞台を前に「(22年北京)オリンピックのショートくらいのいいサルコーが跳べた」と自信を深めた。

鍵山は3日のフリーで、高難度の4回転フリップも組み込む予定だ。自分は「挑戦者」。けがを乗り越えた20歳は、攻める。

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