リーグワン昨季王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが、世界最高峰スーパーラグビー(SR)パシフィックで昨季準優勝のチーフス(ニュージーランド=NZ)に食い下がった。

1月に全国大学選手権で3連覇した帝京大のフッカー江良颯(22)が後半から出場。非公式戦ながら、大学4年生が対象のアーリーエントリー“最速デビュー”で、いきなり世界のレベルを知った。

昨季3位の横浜キヤノンイーグルスはブルース(NZ)に22-57で敗戦。チーフス、ブルースとの計4試合を、日本勢は1勝3敗(1勝は埼玉パナソニックワイルドナイツ)で終えた。

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4試合の価値は、これから問われる。

今回は「0」から「1」の第1歩。世界最高を目指すリーグワンは、シーズン最終盤の国際的な王座を決める公式なプレーオフ実現などを将来の理想とする。4日には日本代表プロップ稲垣啓太ら主力を並べた埼玉が、チーフスを38-14で圧倒。王国NZに日本の成長を示した。

この日は173センチ、82キロと小柄な東京ベイの25歳WTB根塚洸雅が「全然届かない場所じゃないと分かった」と存在感を際立たせ、代表を目指す若手が国際経験を得た。機会の創出に関し、運営側へ感謝の声が続いた。

「1」を「2」とする段階には、猶予がない。

来年は開催そのものが現時点で白紙。日本はシーズン中の2月開催で、記録に反映されない非公式戦だ。試合のない他の8チームが休養などで後半戦へ態勢を整えた一方、参加した4チームは強度の高い試合による故障のリスクも抱えた。リーグワンの東海林一専務理事は「日本ラグビーのために一定の負担をしてもらった」と“犠牲”を認める。

SR2チームは開幕前の調整段階で来日。NZ協会が同国代表選手のプレー時間を管理しており、ファンが願う通りの出場ではなかった。

チーフスのクレイトン・マクミラン・ヘッドコーチは時期について「SR、リーグワンにとって、このタイミングは望ましくないかもしれない」と言った。リーグワンは5月、オーストラリア、フィジーなども参戦するSRは6月の閉幕と一致せず、以降は各国の代表活動が控える。

理想とするシーズン終盤のガチンコ勝負へ、互いの目線をそろえるハードルは高い。運営、チーム、ファン、誰もが納得する形を早期に作れるのか。大きな可能性を秘めるバトンは、運営側に移る。【松本航】