【モントリオール=阿部健吾】宇野昌磨(26=トヨタ自動車)が4位にとどまった。

今季最高点でのショートプログラム(SP)首位から迎えたフリーは173・13点となり、合計280・85点。日本勢初の3連覇はならなかった。

SP3位のイリア・マリニン(米国)がフリー世界最高の227・79点を記録し、合計でも世界2位の333・76点で初優勝を飾った。鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)は合計309・65点で2位となった。

演技を終えた宇野が苦笑いした。冒頭の4回転ループで転倒。続く4回転フリップも着氷は乱れ、以降も小さなミスが続いた。それでも今季注力してきた表現面で魅了した。

SPではジャンプで自身最高の加点を得た4回転フリップを決めた。年が明けてから試行錯誤を続けてきた練習の成果が試合につながったことを素直に喜んだ。一方で「1点でも2点でもそんなに変わらないので、フリーの、男子は特に。10点でも変わらない、まであるので」とし、2位以下との戦いを見据えていた。

「とりあえず今日と明日だけ(喜ん)で、明後日からはもう1回、何もなかったのかのように切り替えて、とは思っています」

「最近日々練習していても、この2人と比べると年齢を重ねているので、明日はしっかり休みたいと思っています」

記者会見の席上では2位の鍵山優真、3位のイリア・マリニンを両横に、和やかに過ごし方を説明していたが、実際の翌日の公式練習では休養感は皆無。幾度もジャンプを跳び続け、その真摯(しんし)さに王者の理由も感じさせた。

今季は表現面を追求したいと望んでいた。「自分自身ももう1回見たいと思える演技を」。ただ、試合となれば得点を稼げるのがジャンプであることは変わりない。どうしても比重が大きくなる。「ジレンマはあります」とSP後にも明かしながら、闘い方を模索してきた今季だった。