【モントリオール=阿部健吾】鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大)が2年ぶり3度目の銀メダルを獲得した。ショートプログラム(SP)2位からフリー203・30点の合計309・65点。ケガからの復帰シーズンで、新たな強さを求めた集大成を刻んだ。3連覇に挑んだSP首位の宇野昌磨(トヨタ自動車)は4位、三浦佳生(オリエンタルバイオ/目黒日大高)は8位。19歳のイリア・マリニン(米国)が6本の4回転ジャンプを決めたフリーで世界歴代最高の227・79点を記録して初優勝した。アイスダンスの小松原美里、小松原尊組(倉敷FSC)は18位だった。

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驚愕(きょうがく)の演技だった。マリニンが、北京五輪を制したチェン(米国)のフリー世界歴代最高を2・87点更新し、GPファイナルに続く圧勝。3位だったSPでは回避した大技、クワッドアクセル(4回転半)を皮切りに「時間がゆっくりと流れていくように感じた」と高難度のジャンプを全て決めた。演技を終えると、興奮で氷の上であおむけに横たわった。「ここ数週間は心身ともに大変だった。自分を信じ、全力を尽くした」。けがで大会直前まで出場を迷っていたとは思えぬ滑り。「4回転の神」と呼ばれ、昨年の銅メダルから時代を動かす象徴へと成長をみせた。26年五輪の頂点へ、衝撃を生んだ。

【フィギュア】マリニン圧巻V 2位鍵山と24・11点差 宇野4位/世界選手権男子フリー詳細