プロフィギュアスケーター高橋大輔さん(38)が5日、不動産の賃貸や仲介を担うスカイコート株式会社の創業55周年記念プロジェクト発表会見に出席した。公式アンバサダーとして、東京・赤坂の一等地にあるマンションの1室をフルリノベーション。作品づくりに携わる上で「人に頼ること」を信条にしていると語った。

 ◇   ◇   ◇

リノベーションのテーマは「かこみ。」。社会の騒々しさから切り離れた部屋を目指した。「包まれている雰囲気を出したい。デザインとしていろいろなところに囲われていると表現したかった」。壁の配色やタイルの色合いに工夫を凝らした。

プロジェクトの期間が、自身がプロデュースしたアイスショー「滑走屋」(2月10~12日)への準備と重なることもあったが、その間も熱心に打ち合わせに参加していたという。

元フィギュアスケート選手でスカイコート株式会社の代表取締役社長兼CBOを務める西田美和氏は「多い時は5時間半ほどデザインなどの打ち合わせをしていただいた。『楽しいことは全く苦にならない。じゃあ練習へ行ってきます!』と明るく話してくださったところが大輔さんの優しさです」と感謝を込める。

周りの人を巻き込みながら、完成形へと近づいていく。それはまさに、高橋さんが大切にしていることでもある。

「1人の人間から出るものはそんなにない。無理して自分1人でやろうとしても、行き詰まってしまう。しゃべっているうちに『あ、いいっすね』とか、人が増えれば増えるほど、いろいろな意見があって。そこから面白さが発見できたり、『だったらこれがいいかも』というのがあったりするので」

それは「滑走屋」の制作過程とも共通する。振り付けを東京パノラマシアター代表の鈴木ゆまさんに委ね、若手スケーターとともに公演をつくり上げていく時も、心にとめていたことだった。

「振り付けを頼ったことで、気付きがあったり、逆に『もっとこうしてほしい』と自分で思ってもいない要求が出てきたりする。自分1人でやろうとせず、頼って、頼って、頼って。一緒につくり上げていくものが、一番すてきなものだと思っています」

人を頼りながら、ともに進む。ただ、つくり上げた作品に満足はしない。話題を呼んだ「滑走屋」も、アップデートを欠かさない。

「今回は体調不良で出演できないキャストがいたので、もう1度同じものをどこかでやりたいと思う。その先に新しいものができればと思っています。第1段階として良いスタートが切れましたが、続けていくためには改善点を見つけたり、状況に応じて変化をさせたりしないといけない。同じものをずっとしていても飽きられてしまう。いろいろと勉強しながら、新しいものをつくっていけたらと思います」

リノベーションも、アイスショーも、根本は変わらない。周りの人を頼りながら、常に新しさを追い求めることが、すてきな作品につながっていく。【藤塚大輔】