史上初の3連覇を狙う王者ニュージーランド(NZ、世界ランク1位)が今大会最多得点を挙げ、ナミビア(同23位)を71-9と圧倒した。

大量11トライで、1987年の第1回大会から続く1次リーグの無敗記録を「31」に伸ばし、W杯での連勝も「17」となった。まさに無敵のオールブラックスだが、準々決勝で対戦する可能性が出てきた快進撃の日本(同8位)に対し「タフな試合になる」と意識する選手も現れた。

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七色のトライシーンが王者を物語る。NZ代表は体の後に右手を回し左サイドへ送るトリッキーなパスやノールック、オフロードと、変幻自在のラストパスからトライを量産した。

象徴的だったのは前半5分、この日、SOに入ったJ・バレットが相手陣中央左から右タッチライン付近にキックパス。受けたWTBリースはすんなりトライを決めた。

司令塔役を着実にこなしたJ・バレット自身も後半35分にトライ。自らゴールも決め66-9とリードを広げた。11本中8本のゴール成功の傍らには、この日は「WATER」ビブスを着てサポート役に回った兄ボーデンが常にいた。キックティーを渡されるたび、アドバイスを受け「勇気づけられた」。

スコアだけ見れば隙がない王者だが前半30分過ぎまでは10-9と接戦だった。ナミビアのブレークダウンに押され3度もPGを与えて9得点を許した。

ナミビアのデイセル主将はオールブラックスと戦う上で「ボール保持時間を増やすことが重要。30分はそれができた」と分析。デイビス監督は「攻守切り替えの速さが出せた時間はうまくいった」と指摘した。

王者は、決勝トーナメント1回戦で対戦する可能性がある日本の快進撃を頭の中に入れ始めている。「日本はエキサイティングなラグビーで本当にすごい。多くの観衆が赤と白を着ていて、向こうの組にいたことが良かった」とハンセン監督。プロップのタアバオは「日本とやればタフな試合になる」と話し、代表キャップ82のFBスミスも「ジェイミーらコーチ陣がすばらしい。ジャパンの快進撃には驚かない」と認めた。

ニュージーランドは次のイタリア戦に勝てばB組1位で準々決勝に進み、A組2位と当たる。日本のA組順位次第では、準々決勝が王者と開催国の大一番となる。【三須一紀】