世界から注目を浴びる男が大暴れする。ラグビーW杯日本大会で初の8強入りを果たした世界ランク7位日本代表は17日、同5位南アフリカとの準々決勝(20日、東京・味の素スタジアム)に向けて都内で練習。海外メディアから注目を受けるNO8姫野和樹(25=トヨタ自動車)が、優勝候補との一戦に向けて武者震いした。

南アフリカは都内で調整し、日本より1日早く登録メンバー23人を発表した。

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W杯初出場ながらも日本の屋台骨となった姫野は、堂々とした姿勢で会見に臨んだ。1次リーグ全4試合にフル出場し、チームの快進撃に貢献。次戦へ「相手は世界で1、2位のチーム。南アフリカのフィジカルにどれだけ自分が前に出られるか。自分自身に期待している」と語った。

密集での力強さが海外で高い評価を受けている。相手ボールを奪う「ジャッカル」は、スタッツ社のデータによると4試合で5度決め、チームトップ。高い突破力も魅力の1つで、英スポーツ専門局や南アフリカメディアが独自に決めた、1次リーグのベスト15に選出された。それでもオーストラリアのフランカー、フーパー主将の名前を挙げ「おごらず、そいう選手を見てもっと磨きをかけたい」と向上心を見せた。

会見冒頭には海外メディアから「ティア1とティア2の違い、概念をたたき壊したのは本当か」と質問を受けた。「もちろん。見ての通りいいラグビーをしている。自信を持ってアイルランドとスコットランドと戦った。自信を持ってそう言える」と即答。世界を相手に確実に大きな手応えをつかんでいる。

W杯直前の9月に7-41で敗れた南アフリカ戦は、左足首負傷でベンチ外だった。それだけに「W杯という舞台で対戦できるのは楽しみでしかない」と待ち遠しそうにした。ここまでフル出場も「日程に余裕があったので全く問題ない」と余裕の表情。若手ながらも頼もしさを見せた。

所属先のトヨタ自動車では元南アフリカ代表監督のジェイク・ホワイト氏から指導を受けている。「ジェイクがやりたいことと南アは似ている。トヨタもそういうラグビー。やってくることはイメージできている」。未知なる大舞台で、さらに世界を驚かせる。【佐々木隆史】

◆ジャッカル タックルで倒した相手のボールを奪い取る、密集のボール争奪戦が仕事の1つのFW第3列にとっての花形プレー。元オーストラリア代表のジョージ・スミスが、激しくボールに絡みつくプレースタイルから、どう猛な動物にちなんで「ジャッカル」という愛称で呼ばれ、プレー名として世界に広まった。オーストラリア代表のポーコックやフーパーが名手として知られる。