<大相撲秋場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

 初土俵から5場所目で東前頭10枚目の逸ノ城(21=湊)が、西前頭7枚目の千代鳳(21)との「幕内年少対決」を寄り切りで制した。新入幕の初日から5連勝は、11年5月の技量審査場所の魁聖以来となった。白鵬、鶴竜の2横綱は勝ったが、幕内最年長40歳の旭天鵬が敗れたため、無敗は平幕でただ1人となった。

 逸ノ城が左腕で、重心が低く体重183キロの千代鳳の体を起こした。支度部屋のテレビで戦況に注目する力士らをどよめかせた。胸を合わせて得意の右四つ。「慌てて前に出ると危ない。自分の形になったので、長くなってもいいと思った」。1分37秒8。冷静な判断で慎重に寄り切り。「スタミナは大丈夫」とケロッとした表情で、初日から5連勝とした。

 幕下15枚目格付け出しデビューから、わずか5場所目でザンバラ髪の幕内最年少に、力士らの目がくぎ付けになる光景が早くも定着してきた。白鵬も準備運動を休止して注目するほど。鳥取城北高の先輩の照ノ富士は「普段はめっちゃ弱気なのに、相撲だと強気すぎ」。蒼国来は「岩だね、いや山だな。顔も相撲も35歳くらいに落ち着いている」。幕内最年長40歳の旭天鵬にも「対戦する日は休む」と強さを認めさせた。

 場所前の出稽古で鶴竜と7番、白鵬と13番胸を借りた。何もできなかった。「一番強い人と稽古したことで、ダメなところも分かったし、勉強になった」と修正能力も強さの秘訣(ひけつ)だ。白鵬からも「稽古場とは見違えたね。内容どうこうより新入幕で勝つことがすごい」と評価された。前日17日の朝稽古後にも「高見盛タイプだね。稽古場に弱くて本場所に強い。うまさ、技術はこれからだけど192センチ、199キロは本当に大きい。相撲をやるために生まれてきた」と絶賛させた。

 栃煌山、松鳳山に続き、1学年上の千代鳳にも勝って三役経験者に3連勝。「毎日、モンゴルの家族に電話しています。喜んでくれているし、自信になっています」。15日制が定着した49年以降、新入幕の初日からの連勝は大鵬の「11」が最高。記録更新にも注目が集まる。【鎌田直秀】