22日の甲子園――7年ぶりに駒大苫小牧が甲子園に帰ってきました! 当時、何度も聞いた懐かしい応援。甲子園に映えるアイボリーのユニホーム。あぁ~懐かしいなぁ~。ちょっぴりしみじみとしていたところ、試合が始まって早速、当時と変わらぬプレーに嬉しくなってしまいました!

3回裏、四球で出塁した駒大苫小牧の釜谷泰葵君(右翼・3年)。この後、しっかりボールボーイを務めるチームメートにバットを手渡しました
3回裏、四球で出塁した駒大苫小牧の釜谷泰葵君(右翼・3年)。この後、しっかりボールボーイを務めるチームメートにバットを手渡しました

 それは1回裏、駒大苫小牧の攻撃で2番の酒井隆輔君(一塁・3年)が四球を選んで出塁。そのときです。酒井君は、バットを静かに下に置いてから一塁に走りました。

 2回裏にも鈴木翔也君(三塁・3年)が、3回裏にも安田大将君(二塁・3年)、安松大地君(左翼・3年)、釜谷泰葵君(右翼・3年)が四球で出塁。バットを静かに置く者、ネクストにいた選手にバットを渡す者、駆け寄ったバットボーイに渡す者。

 バットをポンと投げだす選手は1人もいません。


 そうです! このプレー。04年の初優勝、05年の夏連覇。そして06年準優勝のときのチームも徹底していたっけ。

 四死球でバットを投げて一塁に走るシーンは、アマチュアはもちろん、プロ野球でも見慣れたシーン。当時は、とっても珍しく見えて、いつも試合を見ながらとっても気持ち良く試合を見せていただきました。そのプレーが7年たったチームも変わらずに徹底しているなんて。しかも、道具を大事にする気持ちが伝わるこのプレー。見ていて、すがすがしい気持ちになりました。


「野球用具を大事にすることは常に徹底しています。打ったときは仕方ありませんが、バットやヘルメットにミットを投げるなんて、僕らの中では考えられません」と田丸郷祐君(遊撃・3年)が話してくれました。


 昨年秋、新チームになってからは、「物を大事にする」ことをさらに徹底。全体練習後の自主練習後、ボールが1つでも落ちていたら、全員で全部のボールを磨くことにしました。

「大事なボールが落ちているなんて、ありえないこと。ボールに対して失礼だから」

 1個1個、丁寧に手やタオル、ブラシで泥を払い、磨いていきます。

 チームにあるボールと言えば、ノック用のボールも含め4000球近くあるそう。それを翌日の朝2時間、練習後に2時間もかけて全員で磨くのです。

「自分たちで決めたこと。嫌ではないです」

 駒大苫小牧と言えば、雪上ノックが有名ですが、雪の中で使ったボールは泥がなかなか取れないのだとか。

「部室にストーブを焚いて乾かせてから泥を払うんです」


 そんな決まりを作ってからは、用具の片付けも徹底され、今では、練習後にボールが転がっていることはないそうです。


 選手の中には中学まで、バットを投げて一塁に走っていた選手もいます。

「最初は慣れなくて、試合でふと忘れてバットを投げてしまうこともありました。でも、その都度、みんなに“これはチームの徹底ごとだから”って注意されました。今では、道具を大切にしていていいことだと思います」と立花翔君(投手・2年)。


 試合中にふと見られる、駒苫が「道具を大事にする」シーン。

次の試合で四死球のシーンがあるかどうかわかりませんが、もしあったら、是非、注目して見てくださいね!