熊本にもスーパー1年生がいた。九州学院の1年生4番、村上宗隆内野手が、夏の初打席で満塁弾を放つド派手なデビューを飾った。1回無死満塁で迎えた高校初の夏打席でバックスクリーンへのグランドスラム。「和製ベーブ・ルース」こと早実・清宮幸太郎内野手(1年)よりお先にとばかりに、強運と非凡な打撃センスを披露した。二塁打が出ればサイクルという4打数3安打4打点でチームをコールド発進に導いた。

 すでに一塁に向かう途中で、右手で拳をつくっていた。高校球児として初めて立った夏の打席。1年生ながら4番に座る村上は、自分の放った打球に自信があった。「バットの芯だったのでいくと思いました」。バックスクリーンに飛び込む満弾デビューだ。

 村上 最初は足がガクガクしていました。ただガムシャラに振っただけです。

 3打席目には「詰まっていた」と言いながら右翼フェンス直撃の三塁打。4打席目は中前打を放ち、コールド勝ちでなければサイクル安打も夢ではなかった。

 早実の1年生「和製ベーブ・ルース」こと清宮がライバルだ。「意識はしますけどあっちの方が上」と言うが、互いにあいさつ代わりのアーチを打ち合っていた。5月に行った早実との練習試合。清宮は3打席目で1発を放ったが、それより先の第1打席で村上は清宮の目の前で高校初ホームラン。この日、スタンドで息子の満塁弾を見守った父公弥(きみや)さん(43)は「本人は清宮くんを意識してると思いますよ。聞いた話だと練習試合で清宮くんは最初(村上を)先輩と思ったらしいです」。

 185センチ、83キロ。3年生と見間違えるほどの体格を誇る「肥後の和製ベーブ・ルース」は、これから何本アーチを重ねるか想像がつかない。【浦田由紀夫】