センバツ8強の滋賀学園に「ヘリコプター打法」の主砲馬越大地一塁手(3年)が復帰、石部・信楽に18-0で大勝発進した。馬越は今春甲子園で注目され、浮かれすぎの面もあったため、その後の公式戦はベンチ外に。3長短打2打点とモデルチェンジしたヘリコプターが再離陸した。

 頼りになる主砲が帰ってきた。3番で出場した馬越の第1打席は1回裏、1点取ってなお無死二塁。痛烈な打球は三塁横を抜き、タイムリー二塁打となった。気持ちを入れ替えた「ヘリコプター打法」の威力を見せつけた。馬越は「今は、次のバッターにいい形でつなげる打撃をする」と念じ、打席に入っていた。

 黒塗りのバットを頭上で右回転させてタイミングを取る。独特のスタイルがセンバツで一気に話題になり、3回戦の釜石(岩手)戦で左中間席へ甲子園第1号も放った。体重90キロを超えた巨漢は人気者だった。だが、その後、一発狙いの打撃で飛球が目立ち、ナインは「自分のことだけ考えているスイングだ」と厳しい目を向けたという。

 「17歳、18歳の気持ちが浮かれるのも無理からぬことだが」と思いやる山口達也監督(45)が、馬越を春の公式戦ベンチから外す。監督との面談を、馬越は「春は新戦力を使っていくから、夏への準備をしておくようにと言われました」と振り返る。悔しさがこみ上げたが、スタンドからしっかり応援し、練習後は毎日ポール間を20本走った。食事も自分で調節し、体重を減らすのではなく、キレのある体づくりに努めた。

 この日、2打席目に高々と左翼へフライを打ってしまい「まだまだです」と口にした主砲。そんな馬越を、チームメートは「信頼できる“4番”が戻ってきた」(エース神村)と迎え入れ、春夏連続甲子園へ突き進む。【宇佐見英治】

 ◆馬越大地(うまごし・だいち)1999年(平11)1月25日、京都府生まれ。小1から野球を始め、壬生ライガー(軟式)で捕手、朱雀中では京都嵯峨野ボーイズで一塁手。高校通算21本塁打。178センチ、90キロ。右投げ右打ち。