センバツに3度出場した伊都は学校再編のため本年度閉校となる。9人で最後の大会に挑んだが、無念の幕切れとなった。

 1-8で迎えた5回裏2死。守備についていた伊都の遊撃手・柴田寿幸(3年)が突然その場に倒れ込み、熱中症の症状により出場不可能と判断された。バスケット部から助っ人1人を含む9人での出場も試合が成立せず、規定により没収試合となり0-9で敗れた。和歌山での没収試合は戦後初めて。

 担架で運ばれた後、場内では伊都だけでなく対戦相手の耐久のアルプスからも「頑張れ頑張れ柴田」のコールが起こったが、約20分後に最悪の診断が下された。

 養田晋一監督(37)によると意識はあるものの全身けいれんのような状態。理学療法士から試合に出場し続けると生死に関わると判断されたという。養田監督は「なんとか1勝して校歌を歌おうと言って試合に臨んだ。最後の大会というプレッシャーを支えきれなかった僕の責任。最後まで試合をさせてあげたかった」と唇をかんだ。

 森口幸太主将(3年)は「去年3年が引退した後は5人だったから、夏の大会に出られたことがうれしい。試合が中断したときの耐久からのエールも聞こえていた。全ての人に感謝しかない」と涙をこらえて語った。