第89回選抜高校野球大会(19日から12日間・甲子園)組み合わせ抽選会が10日、大阪市内で行われた。

 開幕日に屈指の好カードが組まれた。日大三(東京)の相手が、履正社(大阪)と決まった瞬間、この日最も会場がざわついた。昨秋の明治神宮大会覇者との戦いに、小倉全由監督(59)は「一番強いチームと当たるとは。決勝だと思ってやります」と苦笑いしながら、切り替えた。

 エース兼主将の桜井周斗投手(3年)もまた、バツの悪い表情だった。「やっちまったと思いました。『履正社とか引いてくるんじゃないの』って言われたことがあったので…」と“予感的中”に驚いたが、白旗はあげない。「履正社は早実とダブる部分がある。悔しさがあるので」。

 WBCで戦う楽天則本を手本にした「侍スライダー」で勝負する。昨秋の東京大会決勝で早実・清宮からスライダーを武器に5打席連続三振を奪った。でも、逆転サヨナラ負けを喫した。「履正社の安田と若林は、早実の清宮、野村に匹敵する」。この冬は、より制球力を磨くため走り込んだ。優勝するため、「西の清宮」と呼ばれる安田に打たれるわけにはいかない。

 桜井の奪三振率11・69は出場選手でトップ。そんな「ドクターK」に加え、米国人の父を持つ「デカプリオ」ことスラッガーの金成麗生内野手(3年)もいる。桜井は「スライダーはある程度投げられる。履正社の勢いを止めたい」。好きな曲はB’zの「裸足の女神」。左腕の快投で、勝利の女神も振り向かせる。【和田美保】