<高校野球宮城大会:仙台育英14-0一迫商>◇9日◇2回戦◇仙台市民

 仙台育英のプロ注目右腕、梅津晃大(3年)が左手首骨折から復帰した。一迫商戦に先発して3回を被安打4、4三振を奪って無失点。プロ8球団のスカウト12人がスタンドで見守る中、最速138キロをマークした。優勝候補筆頭のチームは初回に打者15人で11点を奪うなど、5回コールドで圧勝。3年連続25度目の優勝へ好スタートを切った。

 仙台育英のエース梅津が、最後の夏に上々のスタートを切った。8球団のスカウトが見守る中、骨折した左手首にテーピングをしながら3回30球。1回表に11点の大量援護をもらい、その裏は速球を試した。2安打を許したが、二塁走者をけん制で刺してピンチを断つ。2回以降はカットボールや縦のスライダーと変化球主体。3回は3三振を奪った。

 5月27日の県大会決勝以来の公式戦登板。「今日は30点」と反省しながらも「三塁は踏ませていない。要所を締められた」と自己評価した。身長190センチから投げ下ろす自己最速の140キロには届かなかったが、138キロを計測した。6月1日の練習試合で左手首に死球を受けて全治1カ月。幸いケガの治りは早く、同28日の酒田南(山形)との練習試合で完封勝ちを収め、夏に備えていた。

 梅津に初戦の先発を託した佐々木順一朗監督(54)は「骨折で、かえって力みが抜けた」と言う。走者を背負い力んでピンチを招く春のエースの姿は、もうなかった。「走者を出しても打たれる気はしなかった」と右腕はサラリと言ってのけた。「先週始めたばかり」(梅津)の打撃では2安打1打点。テーピングはしているものの、左手首は「もう痛みはない」と完治を口にした。

 昨春のセンバツはベンチ入りしたものの、登板はできなかった。昨夏の甲子園は不調でベンチから外された。最後の夏にかける思いはだれよりも強い。「甲子園のマウンドに立ちたい」。夢舞台へ梅津がピッチを上げていく。【久野朗】

 ◆梅津晃大(うめつ・こうだい)1996年(平8)10月24日、福島市生まれ。生まれて間もなく仙台に移る。南大泉小2年の時に南小泉メッツで野球を始め、主に投手。秀光中を経て仙台育英に進学。190センチ、82キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、妹。