<高校野球兵庫大会:東洋大姫路6-0出石>◇14日◇2回戦◇姫路

 阪神も注目した右腕、東洋大姫路・門野敦也(3年)が8回に登板し、1イニングを無失点に抑えて完封リレーに貢献した。背番号1を背負い、最速137キロながら鋭いスライダーが武器。プロからも評価される門野だが、卒業後は消防士になると決めている。

 小学6年のとき、テレビで消防士のドキュメンタリー番組を見て「人を助けたい」と心に決めた。「プロよりも、やっぱり人助けがしたい」。母二葉さん(42)は「親としては上(プロ)を目指して欲しいんですけど、本人が決めたことなので」と目標に向かう息子を見守っている。

 高校1年のとき、夢を後押しする出来事があった。帰り道に「腰が痛い」と畑から声がした。年配の女性が腰を押さえ横たわっていた。門野は、部員と周りの大人を呼び女性を救助。人を助ける喜びを心から実感した。

 今大会後には、公務員試験を受験予定。「今年は絶対に甲子園に出たい」。まっすぐな男の最後の夏が始まった。【小杉舞】

 ◆門野敦也(かどの・あつや)1996年(平8)7月2日、姫路市生まれ。広峰小1年から「広峰ジャガーズ」で野球を始め、小5から投手。広嶺中では軟式野球部に所属。東洋大姫路では2年春からベンチ入り。50メートル走7秒2。遠投100メートル。好きな選手はヤンキース田中。173センチ、69キロ。右投げ右打ち。