ソフトバンク李大浩内野手(33)が、日本シリーズMVPに選ばれた。5試合で8打点は06年日本ハム稲葉ら3人の7打点を上回るシリーズ新記録。「うれしい。連覇するのもうれしいし、これからぐっすり眠れる」。プレッシャーから解放され、MVPインタビューで本音を漏らした。

 首の痛みを抱えながら、最後まで快音は続いた。3安打4打点の第4戦に続き、この日は4回に先制2ランを放った。1死三塁から内角カットボールを振り抜いた特大の飛球。ポールを巻いて本塁打と判定されたが、ヤクルト真中監督からビデオ判定の要求。ベース1周していた李大浩は祈るような気持ちでベンチにいた。「文句なしの当たり、切れるかどうかだけだった」。数分後、本塁打と場内コールされて安心したような顔。そして日本一につながった。

 工藤監督からは「昨日(第4戦)も言いましたけど、デホさまさまです。ありがとう!」と感謝された。骨折の内川に代わって全試合で4番を務めた。試合後は、選手ロッカー室で観戦していた内川とともに喜びを分かち合った。「正直、内川がけがしていなかったら、この場所(MVPインタビュー)は内川の場所だったと思う。代わって自分が立ててうれしい」。

 韓国ロッテ、オリックスでは優勝できなかった。だがソフトバンクでは2年連続のリーグV、そして日本一の原動力に。「チームを勝たせることができて本当に良かった」。3冠王を2度獲得した韓国の英雄が、日本でも最高峰の舞台で輝き続けた。【大池和幸】

 ▼李大浩が先制2ランを放ち、第2戦、第4戦に次いで3度目のV打点。1シリーズでV打点を3度は90年デストラーデ(西武)に次いで2人目のタイ記録だ。デストラーデは5番で出場し、V打点の内容が第1戦先制、第3戦先制、第4戦勝ち越しだったが、李大浩はすべて先制打がV打点となり、4番で3度は初めて。今シリーズの李大浩は8打点で打点王。昨年もトップの4打点を記録しており、シリーズで2年連続打点王は65~67年長嶋(巨人)67~69年王(巨人)71、72年末次(巨人)86、87年秋山(西武)93、94年清原(西武)に次いで6人目になる。