広島ドラフト2位横山弘樹投手(23=NTT東日本)が5日、都内で自主トレを公開した。先発ローテーション入りへ殴り込みをかける右腕は、全国有数のパワースポットから力をもらい、おみくじを引けば大吉と幸先のいいスタートを切ったことを明かした。新調したグラブも、ドジャーズと契約合意に達して大リーグ挑戦が決定的な前田と同じ縁起もの。調整ピッチを上げ、9日の入寮に備える。

 真新しいグラブと真っ赤なアップシューズとともに、横山の笑顔が輝いていた。「新しい年を迎えて、ようやくという思いが強い」。充実に満ちた表情が、プロの世界へ踏み出す1年の快調な滑り出しを物語っていた。

 新年の幕開けから縁起のいいことが続いた。有数のパワースポットとして知られる宮崎・高千穂で初日の出を拝み、高千穂神社で初詣。願い事はせず、「今まで支えてくれた人に今度は自分が恩返しできるように」と心の中で決意表明した。1年前にも同じように決意表明し、見事にプロ入りを成就させており、今年もプロでの成功を誓った。

 おみくじは新しい背番号の24を選び、見事に大吉を引き当てた。「マイナスイオンがすごく出ていた。心が洗われた気がします」と笑顔だった。

 新調したグラブにも、御利益がありそうだ。親指と人さし指の間の網部分にトンボがあしらわれている。実は米大リーグ挑戦が決定的な広島のエース前田も以前、グラブにトンボの刺しゅうをほどこしていた。14年オフに現役引退を決めたNTT東日本のエース黒田信広さんが長年愛用していたものを愛弟子の横山が受け継いだ。トンボには「前を向くしかない」という意味が込められている。

 常に前を向いていた前田の穴を埋める働きを、1年目から期待される。新人右腕は「自分がそんなこと言える立場ではないですが」と前置きしつつ、「自分もその一員となれるようになりたい。(先発)ローテーションだけでなく、主力で投げる人たちとの競争に入っていけるようにやっていきたい」と言い切った。運と実力を携えて、即戦力右腕が広島先発陣に挑戦状をたたきつける。【前原淳】

 ◆横山弘樹(よこやま・ひろき)1992年(平4)3月12日、宮崎県生まれ。宮崎日大、桐蔭横浜大を経てNTT東日本に入社。社会人1年目から活躍し若獅子賞を受賞。高校の1学年後輩にあたるソフトバンク武田は「一番優しい先輩でした。キャラがおもしろい方」と横山を表現する。50メートル6秒8、遠投110メートル。右投げ左打ち。血液型はO型。家族は両親と姉。

 ◆トンボとプロ野球 トンボは前にしか進まない攻撃的な姿勢、素早い動きで獲物を捕らえる生態から「勝ち虫」とも呼ばれる。戦国時代の武将たちもかぶとにトンボのデザインを取り入れている。前田はかつてグラブの網部分にトンボのマークを入れていたことがあった。