17試合目、先発では2試合目で、DeNA熊原健人投手(22)が、待望のプロ初白星をつかんだ。セットポジションから、左足を引っかくように上げて、投げ込んだ。5回2死一、二塁。ヤクルト山田を打席に迎え、奮い立った。決め球は真ん中低めのスライダー。セ界最強打者のバットが空を切った。「前の打席でタイムリーを打たれていたけど、投げきったボールだったから切り替えが早くできた。次はやり返してやろうと思ってました」。5回を2失点(自責は1点)でしのぎ、初勝利を手にした。

 2月の宜野湾キャンプだった。ラミレス監督から「先発で投げるとしたら、どこに投げてみたい?」と聞かれた。「スワローズです」と即答した。「12球団を代表する打撃のチームのイメージだった。初球から振ってくるし、力で勝負する自分に合っていると思った」。あの時交わした会話を現実にしてみせた。

 下半身をダイナミックに使う変則的なフォーム。可能にしているのは足腰の強さだ。普通の人との違いは靴の中敷きに表れる。右足の親指の付け根。母指球のあたりがすぐにすり減ってしまう。2月のキャンプでは第1クールですでに穴があいた。それだけ規格外の力が地面から伝わっている証拠だった。

 神宮球場は仙台大3年時に、初めて全国大会の舞台を踏んだ場所だった。「全国にはすごい人がいっぱいいるって知りました」。いわば、上を目指そうと思った原点の場所。「プロという最高の舞台で野球ができる幸せを感じます」。喜ぶ顔は初々しかった。【竹内智信】

 ◆熊原健人(くまばら・けんと)1993年(平5)10月19日、宮城県生まれ。柴田高、仙台大をへて、15年ドラフト2位でDeNA入り。仙台大から初のプロ野球選手に。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。契約金7500万円、年俸1200万円(金額は推定)。家族は両親と兄と姉。父は神社の宮司。