中日大島洋平外野手(30)がサイクル安打を達成し、激闘勝利に貢献した。初回先頭打者本塁打となる先制3号ソロでスタートを切ると、左二塁打、左中間三塁打、そして6回に左前打で決めた。サイクル安打は14年9月2日の広島ロサリオ以来、64人、68度目。日本人では08年9月3日の巨人小笠原以来の快挙だ。延長10回に四球で出塁し決勝の5得点目もマークしてチームの連敗を4で止めた。敵地での広島戦今季初勝利をもたらした。

 最後は、いとも簡単に左前に打球を落とした。大記録までは単打のみ。大島は6回、先頭で打席に立った。「みんなから『4打席目で決めてこい』と言われた。2000安打が迫ってきた人はこんな感じなのかなと。なかなか味わえない感じだった。落ちてくれと思った」。願いは通じた。4打席で大記録を成し遂げると一塁上で花束を受け取り、笑顔で声援に応えた。

 初回、復帰登板の広島大瀬良の直球を右翼スタンドに運ぶ先頭打者本塁打を放つと、バットに火が付いた。「僕は本塁打が年に何回かしかない。チャンスが少ない中で達成できて運がいいと思う。勝ちゲームで達成できてうれしかった」。サイクル安打は中日では04年4月13日のアレックス以来、7人目。初回先頭打者本塁打からの達成は球団初だ。同点に追いつかれ延長戦にもつれたが、10回先頭の6打席目に四球を選ぶと杉山の適時打で、この日5得点目となる決勝のホームも踏んだ。

 苦手の夏場に偉業を成し遂げた。毎年、暑さが増すとともに成績が低迷。15年のシーズンを終えると初めて「今までは必要ないと思っていた」という本格的なウエートトレーニングを導入。ハンマー投げの室伏広治氏が04年アテネ五輪で金メダル獲得後に一時低迷し取り入れたという「ファンクショナルトレーニング」に力を入れた。

 シーズン中もホームでは3日に1度は体に負荷をかける。遠征に出るとトレーニング場所を見つけるのに苦労するが、できる限り汗を流す。6月に低迷しかけたが「ちょっと体が慣れすぎてバテていた。もう1つリセットしてトレーニングを変えた」とシフトチェンジ。下半身が動くようになった。

 夏場に入っても調子の波が少ない。手応えはつかんでいた。186安打の球団最多タイ記録を持つ安打製造機。31歳を迎えるプロ7年目で、またひとつ大きくなった。【宮崎えり子】

 ▼大島が14年ロサリオ(広島)以来、プロ野球64人、68度目のサイクル安打を達成した。セ・リーグ32人、34度目で、中日では04年アレックス以来7人目になる。大島は先頭打者本塁打から始まり、6回の単打で達成。先頭打者本塁打を含むサイクル安打は76年衣笠(広島)79年真弓(阪神)14年ロサリオに次いで4人目。これまで最も早いイニングで決めたのは03年稲葉(ヤクルト)の5回で、6回までに達成は稲葉を含め11人目。

 ◆ファンクショナルトレーニング ファンクショナル(機能)を鍛える。ただ単に筋力を向上させるだけではなく、正しい体の使い方を基に「動き」を鍛える。効率よくスムーズな動きが可能になる。