主砲の1発が、セ界の歴史を変えそうな予感を漂わせた。1点リードの8回表、DeNA筒香嘉智外野手(24)が勝負を決める29号ソロを右翼スタンドへ運んだ。7月だけで13本塁打という驚異の活躍が効いて、チームは6月14日以来の勝率5割に戻し、自力優勝の可能性も復活した。昨年は失速した後半戦に入って3カード連続の勝ち越しも決定。12球団で唯一、まだ経験のないクライマックス(CS)進出へ、筒香が打ちまくる。
豪快にバットを振り回し、力強く押し込んだ。8回2死。筒香が中日大野の失投を逃さずに捉えた。カウント1-1からの3球目。高めの抜けたスライダーを「1発を狙うという意識はなかった。打てるゾーンにきたら強い打球を打つことだけを考えていた」と、気負うことなく勝負を決定づける1発を右翼席最前列に着弾させた。
泰然自若の構えで後半戦に入って早くも7本塁打を量産。ペースアップのヒントはパ・リーグの伝統球団で長く主将を務める硬派なベテランの打席にあった。「栗山さんの立ち姿を目指したい。考えてることとか、感情を消して『無』の状態で打席に立っている」。球宴で直接凝視した西武栗山は、狙い球、気迫、心境を一切、表に出さず、一心不乱に投手と対峙(たいじ)しているように見えた。力みにつながる邪念を排除することでコンスタントに瞬発的な力を発揮できると理解した。
必然の結果を確実に示した。中日大野とは試合前の時点で25打数15安打2本塁打で対戦打率6割。この日も1本塁打を含む3安打で6割2分1厘まで上昇させた。得意意識はあるのかと問われ「ない」と即答。それよりも「投手が粘ってゲームをつくってくれたおかげで勝てた」と、主将として無失点リレーを完成させた投手陣をたたえた。
止まらぬ主砲のバットでチームは、6月14日以来の勝率5割復帰を決めた。ラミレス監督は「残り50試合という数字は多いようにも感じるが、CSにいくためにはここからの20~30試合が最も大事になる。それが終われば最終順位のアイデアが持てる」と、早くもスパート態勢に入ったことを宣言した。筒香も「1戦1戦どう勝つかだけを考えてやっていく」と締めた。4位ヤクルトとは5・5ゲーム差に拡大。球団史上初のCS進出が鮮明に見えてきた。【為田聡史】
▼筒香が7月13本目となる29号。月間13本以上はプロ野球記録の18本塁打した13年8月バレンティン(ヤクルト)以来だが、DeNAでは54年8月青田13本、13年4月ブランコ14本に次いで3人目。ブランコの球団記録へあと1本に迫った。本塁打は左腕の大野から。左投手からの1発は今季12本目で、昨年の11本を上回る最多本数となったが、特に7月は右投手から7本、左投手から6本と、左右関係なしで本塁打を量産している。



