日本ハムが執念のサヨナラ勝ちで、首位攻防第2ラウンドを制した。岡大海外野手(25)が2点ビハインドの7回2死二、三塁から、左前2点適時打を放ち、同点に追いついた。さらに9回には執念の内野安打で2死満塁を演出。最後は代打矢野謙次(35)が、サヨナラ押し出し死球を呼び込んだ。ソフトバンクとのゲーム差を4に縮め、今日31日の第3ラウンドに臨む。

 試合後のヒーローインタビューに呼ばれた矢野は、顔をしかめて痛がる演技で姿を現した。2-2の9回2死満塁での死球。「体を張りました。形は何であれ、本当に良かった」と、思わぬサヨナラ勝ちの余韻に浸った。

 試合の幕切れはベテランの死球だが、劣勢の流れを引き寄せたのは岡だった。2点を追う7回2死二、三塁。「チャンスを何とか生かしたいと思っていた」。初球から、がっついた。6回までわずか1安打に抑えられていた千賀の153キロの直球を、左前へ運ぶ同点2点適時打。一塁ベースをオーバーランしながら両手をたたいて喜ぶと、右拳を上から下へ振りかざした。「僕も、どんなガッツポーズをしたか覚えていないです」。無我夢中で危機的状況のチームを救った。

 サヨナラ勝利のお膳立ても岡だった。9回2死一、二塁で遊撃への内野安打。「詰まったし、バットも折れたけど飛んだところが良かった」。気持ちが乗り移ったかのような打球が、ハッピーエンドへの伏線だ。「誰がどう見ても、今日は負けられない試合だった」。4打数3安打2打点。熱血漢の負けん気が、首位ソフトバンクとの直接対決でさく裂した。

 栗山監督も逆転劇にうなった。「本当に大事なゲーム。みんなが気持ちを出してくれた。本当に、いいゲームだった」。大谷を今季2度目の1番に置くなど攻撃的布陣で勝負に出た。負ければ5月27日楽天戦以来の3連敗、ソフトバンクの背中も遠のく一戦で、底力を発揮して踏みとどまった。ヒーロー2人は、お立ち台でマイクを持ち合い、「せーの」のかけ声で絶叫した。「ファイターズ、サイコー!」。最高潮のムードで王者を追い詰める。【木下大輔】