ソフトバンクが今日21日から本拠地ヤフオクドームで、リーグ3連覇への正念場を迎える。日本ハムとの最後の直接対決2試合。ソフトバンク工藤公康監督(53)は決戦へのキーワードに「全員野球」を挙げた。相手は先発の大谷が、3番投手として打線に組み込まれることが濃厚だ。

 日が沈む頃に、工藤監督は球場を後にした。天王山を目前に控え、日中をほぼヤフオクドームのベンチ裏で過ごした。日本ハム対策を聞かれると、「今からです」と力むことなく答えた。分析にたけた指揮官だけに、この言葉は額面通りには受け取れない。相手に対する言及は避けたが明確にした思いがあった。それは「全員野球」で戦うことだ。

 日本ハム2連戦は最後の直接対決だ。千賀、武田という若き右腕に決戦を託す。自ら指導に当たってきた。運命的とも言える編成だ。しかし2人に重圧をかけることはなかった。「先発投手にすべてをかけるのは、かわいそうだ。投手、野手全員で勝てるようにするのが、大事だ」。前日19日のオリックス戦でチーム一丸の大切さを再確認した。4時間58分の激闘の末に、引き分けた。12回裏の攻撃で、ナインは優勝目前のようにベンチから身を乗り出していた。「後ろで見ていて、うれしく思った」。思わず胸を熱くした。だから誰か1人に頼ることはない。

 一丸野球を妨げるものはない。腰の張りを訴えたサファテが球場に足を運び、治療を受けた。「マッサージね。アシタ、ダイジョウブ!」。万全を強調し、帰路に就いた。先発、リリーフにフル回転の岩崎も肩周りのケアにやってきた。「(体に)張りはあるが、疲れはない。調子が上がっているのは自分でも分かる。行けと言われたら、行くしかない」。負傷していた細川も今日21日から1軍に合流する。

 優勝の行方を左右する天王山。「直接対決なので、注目もあるし、選手の思いも変わって当然だと思う。1点にこだわりたいし、その時にどう攻めていくかを考えていかないと。どうなるかは、お楽しみです」と指揮官は言った。リアル二刀流の大谷に対し、工藤ホークスは総力戦で臨む。【田口真一郎】