25年ぶりにリーグ優勝を飾った広島が、太っ腹な男気(おとこぎ)で地元に貢献した。昨オフにポスティング制度でドジャースへ移籍した前田の譲渡金(2000万ドル、当時のレートで約24億円)の一部を広島市に寄付することを発表した。総額5億円という巨額な寄付金となった。

 5億円のうち4億円は野球普及の願いが込められている。現時点では、ソフトボールなどができる広場の整備に充てられる見込みで、2020年東京五輪で正式競技に復活する野球、ソフトボールの裾野を広げる狙いがある。広島の松田オーナーは「ソフトボールが盛んな町は野球も盛ん。将来プロ野球選手になりたいと思ってくれる子どもがたくさん出てきてくれれば。ソフトボールは女の子もできる」と期待する。将来カープ選手となる男の子だけでなく「カープ女子」となる女の子たちの夢を育むフィールドが作られそうだ。

 1億円は原爆ドームの保存費用に充てられる。松田オーナーは「球団創設の大きな動機にもなった。復興の原動力が球団そのもの」と話した。原爆投下から5年後に創設された球団は広島市民のシンボル。市民球団としての願いを形にした結果だった。

 広島市だけでなく、2月にはキャンプ地の宮崎・日南市と沖縄市にそれぞれ1億円を寄付した。そのほか、グッズ倉庫の新設やファーム施設の由宇練習場の改修工事などに充てた。昨オフに得た特別収入を球団、そして街の発展のために活用した。【前原淳】