ヤクルト真中満監督(45)が、前日22日に来季残留が決まったウラディミール・バレンティン外野手(32)を優遇しない考えを明かした。23日、神宮で行われた「ファン感謝祭2016」に出席後、来季の構想を問われ、同外野手をレギュラー確定として扱わない意向を示した。

 5万5623人のファンが集まった神宮。隣接するクラブハウスは、オフらしからぬ緊迫した雰囲気が漂っていた。ファン感謝イベントを終えた真中監督は、前夜に去就が決まった主砲について、1つの決断を下していた。「バレンティンといえども、レギュラー確定ではない。状態を見て、バランスを考えた上で、誰を使うか決める」と語気を強めた。

 今季まで、バレンティンのレギュラーは確約されたようなものだった。シーズン中に川端、畠山、雄平が故障で離脱もあり、長打力に頼るためにも重用した。故障以外で2軍降格する、空気はなかった。ただし、来季からは状況が一変する。「バレンティンのパワーか、それ以上」とも期待するディーン・グリーン一塁手(27)を獲得。単純に不調と判断すれば、バレンティンの2軍降格も辞さない構えだ。

 外国人投手に枠を優先したい事情もある。外国人選手は出場選手登録のうち4人までという制限がある。「うちは投手力で、やられてきた。野手2人も…」と、真中監督は外国人野手1人構想を示唆。リーグ連覇を逃し5位で終わった今季は、12球団ワーストのチーム防御率4・73をマークした。投手力の再建は最優先事項だ。2年目ルーキは、来季も不動のセットアッパーと計算している。抑え候補には、新外国人のプレストン・ギルメット投手(29)が加入した。また先発の新外国人も獲得に向けて、現在調査中だ。

 13年に60発のプロ野球記録を樹立したバレンティンといえども、過去の実績だけでは判断しない。真中監督は「いい状態の選手を使う。これは当然のこと」と言った。【栗田尚樹】