巨人坂本勇人内野手(27)が24日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1億円増の3億5000万円でサインした。この日、内海哲也投手(34)が4億円から2億円ダウンで更改したため、チーム日本人最高年俸に躍り出ることが濃厚になった。29歳を迎えるシーズンでの3億超えは26歳シーズンの松井秀喜に次ぐ球団2位のスピード記録だった。今季は打率3割4分4厘で初の首位打者を獲得し、ゴールデングラブ賞も初受賞するなど、攻守での大活躍を評価された。(金額は推定)

 3億の大台超えに、背筋がピッと伸びた。昨オフに複数年契約を結んだが、年俸は変動制。提示されたのは1億円増の3億5000万円だった。「高いお給料をもらうので、もっともっと頑張らないと、と思います」。会見後にチーム最高年俸の事実を知ったが、29歳を迎えるシーズンでの3億超えは、26歳シーズンの松井秀喜に次ぐ球団2位のスピード記録だった。

 今季は攻守で自身初の勲章を手にした。打率3割4分4厘で首位打者を獲得し、ゴールデングラブ賞にも輝いた。打撃面では春季キャンプで松井臨時コーチの助言に耳を傾け、軸足である右足に体重を残した新打法に着手。前年の2割6分9厘から大飛躍を遂げた。「キャンプで松井さんが来てくれて、江藤コーチ、内田コーチも毎日助言をくれた」と周囲に感謝した。

 個人タイトルもうれしかったが、一番欲しかったのは日本一だった。「(広島に)十何ゲームも離されて優勝を逃し、力の差を感じた」と唇をかんだ。来季、自身の成績アップに必要なことを聞かれ「チームのために、というのが自分の成績が上がる近道」と断言。「本塁打、打点はもう少しやれるじゃないかと」と話したが、何よりも勝利に貢献する一打を追求する。

 来年3月にはWBCも控える。「100%の状態でいけるように。オフの時間は大事」との言葉を示すように、すでに自主トレを開始。昨年同様の早期トレで侍ジャパンでの活躍の準備を整える。

 プロ10年目で名実ともに、名門巨人軍の顔に成長した。主将として、2年を終えたが、シーズン中は自問自答の毎日だった。「正直、キャプテンらしいことができたかな、と。何で引っ張ればいいのか、考えないと」と言った。もがき、苦しみながら、今の地位を築いた。来季もまた、試行錯誤の日々が坂本を成長させる。【久保賢吾】

 ◆年俸3億円到達メモ 最年少は10年ダルビッシュ(日本ハム)と12年田中(楽天)の24歳。坂本は来年29歳となり、29歳以下で年俸3億円に到達したのは15人目。ポジション別では投手が最多の7人おり、内野手は28歳で到達の01年中村(近鉄)03年松井稼(西武)に次いで3人目になる。