アマチュア時代から守備と走塁の高評価に反して、打撃が一番の課題だった。「打撃は通用しないかと思っていた」と自己評価する。1軍で生き残るためには打撃向上は必須科目。キャンプから長嶋外野守備走塁コーチとの居残り打撃練習を欠かさず、時間をかけ、汗を流した。

 シーズンが開幕しても、試合後は必ずバットを持った。その日の打席の映像をチェック。「どうしても左肩が迎えにいってしまう。いつも左肩がキーポイントです」と体に染み込ませるように、振り込んだ。ナゴヤドームの選手ロッカー室から出るのはいつも最後。その成果か、打撃フォームに間ができ、自然とプロの球に対応できるようになっていった。疲れよりも充実感が上回り、笑顔も多くなった。

 誕生日に活躍できる強運と、課題を地道に克服できる努力を持ち合わせる。ニューヒーローがリードオフマンとして、チームを連勝に導いた。最下位を脱出したチームをこれからもスピード感たっぷりに、引っ張る。【宮崎えり子】

 ◆京田陽太(きょうだ・ようた)1994年(平6)4月20日生まれ、石川・能美市出身。青森山田では1年春から遊撃でレギュラー。日大では3年秋にベストナインを獲得し、大学日本代表にも選ばれた。16年ドラフト2位で中日に入団し、今年の開幕戦は「7番・遊撃」でスタメン出場。今季年俸は1200万円(推定)。182センチ、80キロ。右投げ左打ち。