下松は2年まで投手として今宮とエースの座を争った仲だった。互いに投げ合った紅白戦では、今宮が下松から空振り三振を喫した次の打席で場外本塁打を放ったこともあったという。3年時にマネジャーに転向し、甲子園でも裏方として今宮を支えた。全国8強入りした3年の夏が終わった後も、プロ入りを果たした今宮の打撃投手を務め、ボールを投げ続けた。

 前日には今宮の自宅に下松が泊まり、当時の思い出話に花を咲かせた。今は歌手として活躍するかつての仲間の晴れ舞台を見て、今宮が燃えないはずがなかった。

 今宮の1発に打線も続き、内川の左前適時打、デスパイネの左越え2ランで初回に一挙4点を奪い、試合を決めた。工藤監督も「初回はいい形で点が取れた。昨日の逆転したところから打撃が皆、積極的になってきている。初回に2点、3点取ると流れがこっちにくる」と、22試合目でようやく機能し始めた上位打線に目を細めた。4位での足踏みが10試合以上続くが、浮上のきっかけになりそうな快勝だった。【福岡吉央】

 ◆下松翔(くだまつ・しょう)1991年(平3)4月16日生まれ。長崎・松浦市の鷹島育ち。明豊では2年まで投手。3年からマネジャーに転向した。高校卒業後、上京し、歌手デビュー。トラフグ大使を務める。